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【シリーズ】社内広報のススメ2:「社内広報」はじめの一歩

本シリーズでは「社内広報」を通じて、自分の会社や職場の皆さんがイキイキと働けるような環境づくりをするための連載企画です。

2回目のテーマは、実際に社内広報を手がける際の「はじめの一歩」です(第1回はこちら)。

 

なぜ「経営理念」が「駅張りポスター」になってしまうのか?

社長の年初方針、人事制度の変更、新商品の紹介…。総務や人事の方々は、全社員に周知すべき重要情報を発信することがよくあります。しかし、往々にして「発信しているのに誰も見てくれていない」「公式に伝えたはずなのに誰も理解していない」という不満を感じることがあるのではないでしょうか。

その最たるものが、オフィスの壁に掲げられた「経営理念」や「行動指針」です。ほとんどの人が一瞬目をやるだけで足早に通り過ぎてしまう、まるで「駅張りポスター」のようになっていることがあります。

なぜこういうことが起こってしまうのでしょうか? 多くのケースでは、その情報が会社にとっては重要であっても、“社員にとって”重要だと認識されていないからです。

 

社内広報の大前提―読まれないことには始まらない

前回のコラムでは「社内広報とは、ありたい姿と現状のギャップを埋めていく問題解決」だと定義しました。情報発信だけを目的にしていては、このギャップを埋められません。どんなに重要なことであっても、その社員が無意識・無関心であれば、情報は受け取ってもらえないのです。

そこで、まず「読もう」と思ってもらうことから始めなくてはなりません。相手がキャッチしやすいようにボールを投げることが必要です。

伝えているのに読まれない。こんな虚しい社内広報は止めましょう。

 

「八方美人な社内広報」には効果がない

実は「良い社内広報」のポイントはたったの2つ。「的を定め」「矢を放つ」。これだけです。今回は「的を定める」とはどういうことなのかを考えていきます。

「的を定める」というのは、メッセージを伝えたい対象相手を明らかにすることです。このときに大切なのが、できる限り対象を絞り込むことです。「的」を絞らず、やみくもに情報発信しても効果はほとんどありません。

「でも、社内報やイントラサイトは全社員が見るものでしょ?」

「なるべく多くの社員に伝えるべきじゃないの?」

と思うかもしれません。しかし、組織には色々な考え方・感じ方をしている人がおり、一度の社内広報ですべての人に深く突き刺さるメッセージを届けることは困難です。

まずは対象を特定することで、メッセージは鋭くなり、受け手に強い動機を生み出すことができます。その動機によって、メッセージは「話題にする」「行動する」といったカタチへと変わり、組織に広く拡散していくのです。大きな岩を動かすための最初のひと押しは、なるべく一点に力を込めることです。社内広報において、「八方美人」にならないように注意しましょう。

 

対象を絞るコツは感情でグループ化すること

対象を絞るためには、社員の感情を捉えることが大切です。人間が、ある情報に刺激を感じ、何らかの行動変容や意識変革を起こす際、そこには必ず感情の変化が伴っています。感情に響かない業務連絡にはモチベーションが上がらないでしょうし、その行動は長続きしません。感情を洗い出してグルーピングし、どのグループを的にするのか選定する作業が不可欠です。

感情を洗い出すには、付箋を使いながら想定される感情を書き出していくことをお勧めします。職場の同僚や上司に声をかけて、ワイワイやってみるのもよいでしょう。一人では想定できなかった視点に気づくことがあります。

なお、書き出す際のポイントは、具体的に感情をイメージしやすくするために「つぶやき」で考えてみること。例えばイノベーションというテーマだとしたら、

「うちの会社に必要なことだ」

「新しいことに挑戦したい」

といった前向きなつぶやきもあれば、

「経営企画部の仕事でしょ? 俺には関係ない」

「仕事が忙しくて、新しいことなんてできない」

といったネガティブなつぶやきもあると思います。

これらを書き出してみて、最もターゲットにすべき感情を選択します。

社歴の浅い方や、現場での経験が少ない方の中には、

「現場のことをよく知らない自分の一存で決めてしまっていいのだろうか?」

「もっと重要な感情が抜けているのではないか?」

と不安に感じる方もいると思います。心配することはありません。組織の感情を統計的に捉えることは、そもそも不可能です。課題解決の視点で皆さんが選択したものであれば、それは必ず1つの正解であり、不正解では決してありません。

 

感情と理解度を知れば良い社内広報ができる

感情を捉えることに加えて、そのテーマに対する理解度も探る必要があります。先ほどの「イノベーション」を例にすると、

「そもそも言葉の意味が理解できているか」(WHAT)

 ↓

「それがなぜ重要なのか、なぜ今やる必要があるのか」(WHY)

 ↓

「具体的に何をやるのか、どうやるのか」(HOW)

という3段階の理解度があります。ターゲットとする読者はどの段階にいるのかを特定しておきましょう。WHATやWHYが十分に理解できていないのに、HOWを提示して行動を促そうとしても、期待される効果はでません。感情と理解度、その両方を捉えて、メッセージを送る「的」を定めましょう。

 

まとめ

「暗闇に矢を射るな!」

私たちグラスルーツの社員が名刺の裏に印字している言葉です。たとえどんなに面白い「ネタ」であっても、ターゲットを想定せず発信しては、その価値を損ねることになります。

今回は、社内広報を行う上でまず、対象となる「的」を描く重要性や、そのプロセスについてお話ししました。最終回となる次回は、定めた的を「ズバッ」と射抜くためのメッセージの作り方について説明します。

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