ホリゾンタル・リーダーシップとは、従来の縦の関係によるリーダシップではなく、横の連携や組織を越えた協力関係で影響力を発揮するリーダーシップのことです。ホリゾンタル・リーダーシップでは、異なる専門性やバックグラウンドを持つメンバーが協力するため、より創造的で効果的な解決策が生まれやすくなります。一方で、メンバー全員が対等に意見を出し合うため、合意形成に時間がかかるといったデメリットも挙げられます。今回は、ホリゾンタル・リーダーシップの意味、メリットやデメリット、必要な能力などについて解説します。
目次
ホリゾンタル・リーダーシップが必要とされている
ホリゾンタル・リーダーシップとは
ホリゾンタル・リーダーシップとは、水平線のような横の連携を重視するリーダーシップを指す言葉です。自身が所属する組織にだけとらわれず、その枠を越えて人と人、組織と組織の横のつながりを基盤にします。結果として組織や部署の枠を越えて多様な人材を連結させ、横のネットワークを機能させることが可能です。そのうえで、お互いに影響力を発揮しながら共同で意思決定や問題解決を行います。
サーバント・リーダーシップとの違い
サーバント・リーダーシップとは、リーダーがメンバーをサポートし、メンバーの成長やニーズを優先するというリーダーシップを指します。サーバント・リーダーシップのリーダー像は、従来の支配型のリーダーシップとは対極にあるリーダー像です。支配型のリーダーシップではリーダーがトップダウンで指示を出しますが、サーバント・リーダーシップでは部下の話に耳を傾け、メンタリングやコーチングを通じて部下と協力して目標を達成します。横のつながりで影響力を発揮するホリゾンタル・リーダーシップとは異なるので、正しく使い分けるようにしましょう。
ホリゾンタル・リーダーシップが注目される背景
ホリゾンタル・リーダーシップが注目される背景には、企業競争の激化やスピード感の上昇、顧客ニーズの多様化が挙げられます。こうした現状にフレキシブルに対応するには、組織の垣根を越えてさまざまな組織が協力して事業に取り組まなければなりません。こうしたなかで求められるスキルがホリゾンタル・リーダーシップなのです。
関連記事:
・リーダーシップ?マネジメント? 違いや必要なスキルを徹底解説!
・HRMとは?その意味と実践例について徹底解説
・組織マネジメントにおける7Sとは
ホリゾンタル・リーダーシップのメリット・デメリット
メリット1:効果的な解決策が生まれやすい
ホリゾンタル・リーダーシップは、組織内外の人材の協力関係を大切にするリーダーシップです。結果として多様な考え方や価値観から、これまでになかった発想や新しいアイデアで効果的な解決策を生み出しやすくします。新しい領域に挑戦するケースでも、今までになかった角度から斬新な発想でアプローチが可能です。
メリット2:迅速に対応できる
従来のピラミッド型リーダーシップでは現場からの声が上層部に上がりにくく、意見が反映されるまでに時間がかかるデメリットがありました。一方、ホリゾンタル・リーダーシップでは、個々人が自分の責任で行動できる仕組みを作るため、迅速に対応できます。
メリット3:多様な人材を活用できる
多様な人材を活用できるという点もホリゾンタル・リーダーシップのメリットです。多様な人材を活用できるので、ダイバーシティ推進や女性活躍推進につながるだけでなくビジネス全体の多様化も期待できます。
デメリット:合意形成に時間がかかる
ホリゾンタル・リーダーシップでは権限が分散されるため、個人の責任の範囲や権限が不明瞭になるケースがあります。そのため、意思決定や合意形成に時間がかかる場合もあるので注意しましょう。
ホリゾンタル・リーダーシップに必要な能力
コミュニケーション力
横のつながりとはチームのメンバー同士・他部門・他部署・他組織など、さまざまな場合があります。そういった相手と協力関係を結ぶにはコミュニケーションが非常に重要です。あわせて、個々人の意見を大事にしながらチームの方向性を決める必要があり、最初から全員が同じ意見とは限りません。そのような時も、日頃からコミュニケーションをとり良好な関係を構築しておけると、良好な雰囲気を保ちながら適切な判断ができます。
調整力
多様な専門性を持つ人や組織が臨機応変に連携・協力して、それぞれの自主性と責任に基づいて課題解決に取り組めるよう、ホリゾンタル・リーダーシップではリーダーはメンバー間の調整役に回ります。そのため、多様な人材が活躍できるように気を配り、それぞれの能力を見定めた業務フローなどを調整する力が必要です。
共感力
ホリゾンタル・リーダーシップを発揮するためには、異なる立場や考え方を理解して共感する力が重要です。多様な立場の人と協力関係を構築するために、さまざまなスキルや価値観を持つ人を理解する共感力が基盤になります。それによって、お互いの信頼が生まれるだけでなく、意見が言いやすい環境になるのです。また、話を聞き出す力や傾聴の姿勢も求められます。業務の話やチームメンバーの悩みを聞いたり、フォローをしたり、といった工夫が必要です。女性は共感型のコミュニケーションを得意とする方が多いため、力を発揮できる場面も増えてくるでしょう。
まとめ
ホリゾンタル・リーダーシップは、従来の縦の関係を意識したリーダーシップとは異なります。横のつながりを重視した際に発揮される、新しいタイプのリーダーシップです。競争が激化してニーズが多様化していくこれからの時代には、このホリゾンタル・リーダーシップが欠かせません。コミュニケーション力・調整力・共感力を持って横の協力関係を構築し、多様な解決策をフレキシブルに生み出せる組織に導きましょう。