職場におけるハラスメントは企業そのものの風紀を乱し、社会的評価を下げてしまうだけでなく、従業員の働く環境を悪化させてしまいます。ハラスメントにはセクハラ、パワハラ、時短ハラスメントなど様々な種類があり、それぞれについて防止策を取る必要があります。今回はハラスメントの種類と防止策について解説していきます。
目次
まずは、社内で行われる可能性のあるハラスメントの種類について認識しましょう。主なハラスメントは以下の5つです。
セクシュアルハラスメントには以下の2つのパターンがあります。
モラルハラスメントとは、相手の労働者に対してその人格や尊厳を侵害するような行為を行うことによって、肉体的・精神的に苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりすることを指します。たとえば、明らかに聞こえているのに無視をするといったようなことや、陰口をたたくといったようなことなどがあります。
パワーハラスメントとは、職場での地位や権限の優位性を背景として、業務の適正な範囲を超えて人格や尊厳を侵害する行動を行うことによって、相手の労働者に対して肉体的・精神的に苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりすることを指します。モラルハラスメントと似ていますが、職場での優位性を利用する点が違います。たとえば、明らかに達成不可能な仕事を押し付けることや、「お前は給料泥棒だ」などといった暴力的な言葉をぶつけることなどが、パワハラにあたります。
労働時間の短縮を部下に丸投げするようなことを時短ハラスメントと言うことが増えています。たとえば、上司が部下に対して「従来通りの成果を出しながら労働時間を10時間減らせ」のように強引な指示を出すものの、具体的な時間短縮の改善策は提示しないことなどがあげられます。
妊娠や出産、育児休業等を理由に、労働者に対して肉体的・精神的に苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりすることをマタニティハラスメントといいます。たとえば、妊娠や出産を理由にして退職や異動を命じたり、妊娠や出産に関する暴言をはいたりするようなことがあります。
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まずは、ハラスメントが起こった際に被害者が相談できる環境を整備しましょう。相談窓口から、ハラスメントを調査するチームとも連携できるようにするとなお良いです。相談窓口は匿名性を厳重に保護することに注意する必要があります。
社内相談窓口を設置することによって、加害者はハラスメントの事実が企業内で知られて自分の立場が揺らぐのを恐れるため、ハラスメントの抑止力となると考えられます。
ハラスメントの加害者への懲戒規定を定めることによっても、ハラスメントを抑止することができます。厳しい懲戒規定を設けることによってハラスメントに対する厳格な態度を示すことができるので、態度表明として懲戒規定を利用することも頭に入れておきましょう。
ハラスメントは厳密に定義された言葉でないので、どのような言動がハラスメントになるのかわからない社員もいるでしょう。そのため、ハラスメントに関する講習会を開催することが望まれます。このときに映像教材を利用すると、現実でのイメージがわきやすくより効果的であるとされています。
また、以上で示した企業のハラスメントへの対策を情報共有することもハラスメント対策になります。社内報などで、定期的にハラスメントの注意喚起を促したり、懲戒規定の再確認をさせたりすることは有効な防止策です。
企業内でハラスメントに関するアンケートを定期的に実施すると、普段は言いにくいような意見を吸い上げられたり、職場の現状把握ができたりなど、ハラスメント対策に役に立ちます。また、気が付かないうちにハラスメントを行っている可能性もあるため、自分の行動がハラスメントにあたるかどうかをチェックするリストを共に配布すると良いでしょう。
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今回は、社内ハラスメントについて解説してきました。ハラスメントという言葉は知っているけれども、どこからがハラスメントなのかわかっていないという人が多いのが現状です。ハラスメントの基本的知識の共有と、企業が行うハラスメント対策の周知徹底を行うようにしましょう。
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