平成29年に財産の贈与を受けている場合、平成30年2月1日から3月15日の期間内に贈与税の申告を行う必要があります。贈与税の計算には「暦年課税」と「相続時精算課税」という異なる2つの方式があり、申告の際には方式に応じた書類を用意して提出しなければなりません。今回はそんな贈与税の申告について、それぞれの方式における税額の計算方法、申告の手続きについて解説します。
平成29年1月1日から平成29年12月31日までの1年間に財産の贈与を受けた方は、贈与税の申告を行う必要があります。贈与税が課せられる財産には、「贈与を受けた財産」と「贈与を受けたものとみなされる財産」の2種類があります。これらは国税庁によって以下のように定義されています。
贈与を受けた財産とは、「あげましょう」「もらいましょう」という当事者の間で交わされる契約によって取得した財産のことを指します。具体的には、以下のようなものが財産に当たります。
土地や株式の名義変更も贈与に含まれるため、注意が必要です。
贈与を受けた財産でなくても、以下のような財産や利益は贈与によって取得したものとみなされ、贈与税の対象となります。
冒頭で述べたように、贈与税には暦年課税と相続時精算課税の2種類の課税方式があります。後者の相続時精算課税は、贈与者と受贈者が以下の条件を満たしている場合に選択することが可能です。
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贈与税の税額を計算する際には、「基礎控除額」と「税率」の2つのポイントを押さえましょう。それでは暦年課税と相続時精算課税のそれぞれについて見ていきます。
暦年課税は、1年間に受けた贈与の価額の合計額に基づいて贈与税額を計算する方式です。贈与の価額が110万円を超える際には贈与税の申告をする必要があります。
参考として、贈与税の速算表(平成27年分以降用)は以下の通りです。
相続時精算課税とは、祖父母などの特定の贈与者から受けた財産の価額を基に贈与税額を計算するという方式です。贈与財産は相続財産に加算されますが、相続時精算課税にてすでに支払った分の税額は、後に支払う相続税から控除されるという仕組みになっています。暦年課税とは異なり、相続時精算課税を選択した場合には財産の価額が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があるため、注意が必要です。また、相続時精算課税を選択した贈与者から贈与される財産には、その後方式を暦年課税に変更することはできなくなります。
贈与税の申告の手続きは、所定の申告書を住所地の所轄税務署長に提出することで完了します。平成29年分の申告書の提出期間は平成30年2月1日から平成30年3月15日までとなっています。
以下のうち、いずれの方法で提出しても構いません。
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申告書には数種類ありますが、申告する内容によって必要な書類は異なります。申告内容に分けて見ていきましょう。
申告書に加えて、相続時精算課税の適用を新たに受ける場合には、以下の添付書類の提出が必要です。
なお、申告書にはマイナンバーを記載する必要があります。それに伴って、番号および身元の確認を行うための本人確認書類の提示または提出が必要です。
贈与税の申告は確実に行わなければなりません。「暦年課税」と「相続時精算課税」では税額の計算方法や必要な提出書類が異なりますので注意が必要です。戸籍謄本等の提出が必要な場合もあるため、必要書類の取得を含め、余裕をもって贈与税の申告を行うようにしましょう。
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