オフィスにある備品を把握していない場合、必要なときに必要なものが見つからなかったり、税申告にズレが生じたりしてしまうこともあります。こうした事態を防ぐためには、備品管理のルールを設定して周知することや、管理ツールを導入することが効果的です。税務処理や経費削減にも関わるので、ぜひ取り組んでみましょう。今回は、備品管理を行う目的や方法、IT資産における管理方法、おすすめの備品管理ツールについて解説していきます。
目次
備品管理とは
備品管理とはオフィスで扱うさまざまな備品の個数や所在地などを管理することです。会社での業務に必要な各備品について把握していないと、必要なときに必要な量を使えず業務が滞ることや、余分に購入して無駄な出費が出たりしてしまいます。状況次第では税金の過少申告や備品の盗難に気付かない恐れもあるため、適切な形で備品管理を行いましょう。
備品管理を行う目的
オフィス内の備品管理を行うと、整理されて気持ちが良いのはもちろんですが、会社経営においてもプラスの効果が期待できます。
- 業務の効率化
多くのオフィスでは備品を各社員が共有して使っており、「ある社員が使った備品を別の社員が使うときに、所在がわからず探し回る」ということが珍しくありません。使用時に備品が壊れることもあり、壊れていることに気付かないと必要になってもその備品が使えずに困ることがあります。備品の所在地や破損の有無などを管理しておくことで、使いたい備品をすぐに使えるため、業務をスムーズに行うことができます。 - コストの削減
備品管理は出費を抑える効果もあります。管理されていない備品は在庫の数が把握できず、まだ残っている備品を切らしていると勘違いして新しく購入してしまうケースがあります。高価な備品でなくても、次々に購入していると積もり積もってかなりの出費になるでしょう。
また、備品の個数は在庫として法人税の額にもかかわります。正確な個数がわからず誤った値で数えると、税金の申告額にずれが生じる恐れがあるのです。多すぎると過剰な納税、少なすぎると延滞金を請求される可能性があり、どちらの場合も無駄な出費になってしまいます。 - 棚卸業務の負担軽減
定期的に行う棚卸作業も、備品管理によって簡単に行うことができます。棚卸を行う頻度は会社ごとに異なりますが、大量の備品を一つひとつ確認する業務には大きな負担がかかるでしょう。また、自動車や機械装置のような高額でかつ長期間所持している備品は、経年劣化を考え減価償却費としての計上も求められます。そのためにも正確に数を把握する必要があるのです。
普段から備品管理をしておけば、棚卸業務にかかる時間を大幅に短縮できます。浮いた時間をほかの業務に使えるため、結果的に会社の利益に繋がるでしょう。
備品管理の方法
備品管理を効率良く行うためには、大まかな手順に沿って行うことが大切です。
はじめに、カテゴリー分けや管理台帳の作成をしましょう。「文房具」や「電子機器」など分類ごとにまとめて、各物品の名前や種別、管理用の番号や登録・更新日などを記入できる用紙を作ります。具体的には、「誰が」、「どこにある」、「どの備品を」、「いつから」使っているかがわかるような項目が必要です。台帳を作成する際は、手書きだけでなくExcelを利用して作成すると見やすくなります。さらに各備品にICタグやバーコードが付いた管理ラベルを貼りつけると、備品管理が視覚的にやりやすくなるでしょう。
また、備品管理のためには定期的な棚卸が必要です。備品の所在地や個数などを確認して管理台帳と比較しましょう。詳しく使いやすい台帳があれば棚卸をスムーズに進められます。
さらに、備品の紛失や故障の確認も同時に行います。高額な備品は盗難に遭う危険もあるため保管方法を考えましょう。
あわせて、備品の配置や使用方法などのルールを決めて社内に周知することも大切です。明確なルールがあれば備品の正しい使い方が守られ、手続きミスや返却漏れなどが起こりづらくなります。ずさんな管理は備品の紛失や盗難に繋がるため、各社員が備品を常に正しく使えるような体制を整える必要があります。
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IT資産における管理方法
パソコンやサーバー、プリンター、さらにパソコン内のソフトウェアやデータファイルなど、IT分野にかかわるものも会社の大切な資産です。特に形がないデータ上の資産は、管理の重要性がすぐには理解できない従業員もいるかもしれません。しかし、データ上の資産は、適切に管理することで業務の効率化につながる一方で、ずさんな管理では情報漏洩のような問題が起こりかねません。管理に使うツールにはさまざまな種類がありますが、手を抜かずしっかりと行いましょう。以下ではIT資産の管理に使うツールについて解説します。
Excelを活用する
現在ではほとんどの会社で導入されているExcelを使って管理する方法があります。新しいツールを導入せず手軽にできるメリットがありますが、管理台帳用のテンプレートを自分で作るにはある程度の知識が必要であり、手間もかかります。また、管理対象が増えると項目や更新作業の頻度も増えて、かえって煩雑に感じるかもしれません。
Excel管理は、導入ハードルが低い代わりに長期的な負担が大きい方法といえるでしょう。会社の規模や管理する対象の量などを考えて選ぶことをおすすめします。
IT資産管理システムを導入する
IT資産の管理に特化したシステムを使うこともできます。資産管理をするうえで必要な機能がそろっており、パソコン操作に不慣れな人でも簡単に効率良く運用できるでしょう。ただし、新規にツールを導入する分のコストがかかるため、自社の規模に合うツールはどのようなものかよく調べてから導入しましょう。
資産管理システムにはクラウド型とオンプレミス型があります。大まかな傾向として、クラウド型はコストと運用の手軽さで、オンプレミス型は機能の量とセキュリティ面で優れています。クラウド型で小規模に開始して、規模が大きくなったらオンプレミス型に変更すると両者のメリットを享受できるでしょう。
おすすめの備品管理ツール
備品管理は専用のツールを使うと楽に行えます。専用ツールはさまざまな会社が提供しており、それぞれに特徴があります。管理対象の備品はどのようなものがあるか、どのように扱っているかなどを考えて、自社に最適なツールを選びましょう。
「Stock」
Stockは同名のStock社が提供している備品管理ツールです。業務チームの情報共有をシンプルかつストレスなく行えます。チャットツールの「情報が流れていく」、「多くの話題が入り乱れる」という問題や、ファイル管理の「ファイル化作業が面倒」、「スマートフォンでの情報共有ができない」などの問題を解決できます。スムーズで快適な情報共有によって、業務をより円滑に進められるでしょう。
「Circurental」
Circurentalはヘッドウォータース社が提供しているクラウド型の備品管理ツールです。パソコンや書籍など物理資産の貸出・返却管理、文房具や紙類など消耗品の在庫管理、情報の一覧表示や社員のログイン状況管理などを行えます。ほかにもシンプルな操作と登録作業でのテンプレート利用、必要に応じた機能の組み合わせなどさまざまな使い方があります。紙面上の管理台帳より取り回しが良く、クラウドサービスのためツール自体の管理も容易で使いやすいサービスです。
「AssetmentNeo」
AssetmentNeoはアセットメント社が提供しているクラウド型の備品管理ツールです。パソコンや什器、サーバー情報など各種資産の管理や、社内資産の持ち出しやデモ機の貸出などの管理を行えます。自社内にある資産と客先に貸し出している資産の両方を管理できる点がメリットです。ツールの提供だけでなく、ユーザーがツールを満足に扱えるよう業務支援も行っています。幅広い場面で効率的な備品管理ができるようになるでしょう。
まとめ
備品管理の目的や必要性、IT資産の管理方法などの解説や、おすすめの管理ツールの紹介をしました。会社で業務をこなすためには各種備品が欠かせませんが、備品管理に時間がかかりすぎて業務に支障をきたすようでは問題です。円滑に業務を進めるためにも、日頃の備品管理が大切です。備品の数や種類、状態などを正しく把握するために、必要な道具やツールを作成・導入して、日々の業務をストレスなく効率的に進めていきましょう。