平成26年度卒業の新卒生の就職後3年以内での離職率は、高校卒業生で40%、大学卒業生で30%を超えています。このような高い水準は過去数十年近く続いており、新卒採用におけるリスクとして問題視されています。こうした状況を踏まえて、特定求職者開発助成金の3年以内既卒者等採用定着コースでは、新卒採用後に一定期間定着させた事業主は助成金を受けることができます。今回は、3年以内既卒者等採用定着コースの要件や支給額について、詳しく解説します。
特定求職者雇用開発助成金は、条件を満たした従業員を新たに雇い入れる事業者に厚生労働省から支給される助成金です。特定求職者雇用開発助成金には以下のようなコースが存在します。
本記事では、「3年以内既卒者等採用定着コース」を詳しく取り上げます。
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平成29年5月1日以降に雇い入れた場合の要件は以下のようになっています。
3年以内既卒者等採用定着コースの助成金には、既卒者等コースと高校中退者コースの2コースが存在し、それぞれ異なる要件が設定されています。
2.これまで既卒者等を新卒枠で雇い入れたことがないこと
2.これまで高校中退者を高卒枠で雇い入れたことがないこと
なお、ここで言う「新卒求人」とは、学校等を卒業または修了することが見込まれる者が応募できる求人を指します。また、「通常の労働者」に当てはまるには、直接雇用でかつ期間の定めがない無期雇用であり、アルバイトなど社内の他の雇用形態の労働者に比べてより責任や裁量を持った業務に従事していると認められる必要があります。
対象となる求職者には以下のような要件がありますが、いつ卒業・修了したか、中退したかについての要件はなく、また年齢に関する規定もありません。
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対象となる求職者を雇い入れ、合わせて要件を満たした場合、働き始めてから1年後、2年後、3年後に助成金の支給を受けることができます。以下の表にある通り、支給額は企業の規模と対象コースによって異なります。既卒者等コースと高校中退者コースでそれぞれ1名が助成の上限です。
企業区分 | 対象者コース名 | 1年 | 2年 | 3年 |
中小企業 | 既卒者等コース | 50万円(※) | 10万円 | 10万円 |
高校中退者コース | 60万円(※) | 10万円 | 10万円 | |
それ以外の企業 | 既卒者等コース | 35万円(※) | なし | なし |
高校中退者コース | 40万円(※) | なし | なし |
※がついているものについては、若者の採用と育成に積極的な「ユースエール認定企業」として厚生労働大臣の認定を受けている企業であれば、さらに10万円が加算されます。
なお、ここでの中小企業の定義は以下の通り業種ごとに異なりますのでご注意ください。
1年定着後に最初の助成金申請を行い、以下の書類を各都道府県労働局に提出します。この他にも必要書類が求められることがあります。
ユースエール認定企業として申請する場合、認定通知書の写しも合わせて提出します。2年定着後、3年定着後の助成金申請時には、支給決定通知書と上記のうち一番下の2つの書類を提出します。
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特定求職者雇用開発助成金は、事業者が過去の就業形態や離職状況、学校等の卒業時期等にとらわれることなく、求職者の様々な面を見て雇用を決定するためのものです。助成金の要件を十分に理解することは必要不可欠ですが、この助成金を機会に企業の採用の多様化を進めてみてはいかがでしょうか。
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