少子高齢化により労働人口が減少している中、シニア世代の活用に焦点が当てられています。シニア活用には採用コストの削減や後継の育成などのメリットがあり、上手に活用することで企業の成長につなげることが可能です。今回は、シニア活用のメリットと注意点について解説していきます。
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高齢化社会になって久しい現在、若年の労働者の減少に伴い、新たな労働力不足解決の手段として、シニアを採用する方法が採られ始めています。新卒採用の難化や、人生100年時代となって定年後も働き続ける意識が広まったこと、政府による高齢者雇用の推進などもこの傾向を後押ししており、この取組みは拡大しています。
このような状況において、労働力不足で逼迫している、また風潮的にシニア採用が義務であるように捉えているといった理由から、やむなくシニア採用に踏み切った企業もあるかと思います。しかし高齢者を新たに雇ったり、あるいは継続して働いて貰ったりすることには様々なメリットがあります。
年齢的に本来なら辞めてもいいのに継続して働くことを決めたシニア層は、働く意欲に溢れています。むしろすぐ辞めてしまうかもしれない新卒よりも熱意の面で信用できるため、人材採用の面でもコスト削減につなげられます。更に、こうした高齢者がエネルギッシュに働く姿は若手にも伝播し、社内に活気をもたらす等の効果が期待できます。
年長者であり長年勤めてきたため、ノウハウや経験も豊富にあります。また一朝一夕では身につかないような貴重な情報源としても活用できるでしょう。若手エースのバックアップ兼相談役や、新卒の世話役など、長年勤めてきたからこそ対応できる役柄も多いです。
高齢者の増加に伴い、政府もシニアの働き続けられる企業を目指して、制度や税制などの面で補助しています。そのため、被雇用者が定年に達した後でも継続雇用や職場改善をすることで、それらの助成を利用して資金を得たり、節約したりすることができます。
定年を向かえ、今までのような週5日勤務はできなくなるかもしれません。また、今までより労働時間を短くして雇うことになるかもしれません。こうしたシニア層の意欲面や変更に体力面を考慮した労働環境を整えていくことで、シニア層のみならずすべての社員が求める柔軟な働き方に対応した管理体制が可能になります。
定年後の高齢者を雇用する場合、賃金についての対策は必須事項です。働く仕事内容と時間が変わるということに加え、成果報酬にするのか、年齢が高ければ技能にかかわらずそれまでの給料から一律に減給するのかといったことが具体的な要素としてあげられます。この問題は場合によってトラブルを招くこともあるため、慎重に考える必要があります。
定年を過ぎる年齢ともなれば、体力や集中力、判断力の低下に見舞われることもあり、遂行可能な業務の範囲が狭まっていくことが推測されます。以前と同じような働き方が難しくなることから、労働時間を減らす、仕事内容を簡単なものにするなどの配慮が必要になります。どこまでその高齢者ができるのかを、本人とも話し合いながら見極めましょう。
シニアが定年後も働こうとする理由は人によりまちまちです。一般的にみればシニアは意欲的と言えても、実際のモチベーションは人それぞれであるなど、全ての人を同じ形で雇えるとは限りません。そのため、高齢者の一人ひとりに即した働き方を随時話し合いなどしつつ、個別に対応していくことになります。
シニアが定年後も働き続けるということは、場合によっては周囲に混乱を招きます。例えば、若手の下に高齢者が部下として付くと、若手が遠慮して指示が出せないといった問題が考えられます。シニア側からしても不満な配属であったとすれば尚更トラブルの原因となりかねず、また、世代交代が滞るなどの懸念材料もあります。シニア活用に即して規定を新たに作るなど、職場環境を変えシニア以外の理解も得るべきでしょう。
政府による援助は制度上や税制面でいくつかあり、高年齢者雇用アドバイザーといった相談のできるものもあります。以下では代表的な助成金を2つ紹介します。
65歳超継続雇用促進コース、高年齢者雇用環境整備支援コース、高年齢者無期雇用転換コースにわかれています。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構によるもので、定年引き上げや廃止、高齢者雇用に向けた環境整備などといったことに対して助成金が支給されます。
特定就職困難者コースと生涯現役コースがあります。こちらはハローワーク主導であり、高齢者や障害者の雇用、定年以上の高齢者の継続的雇用といったことを行った事業主に助成金が支給されます。
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高齢者雇用には煩雑な側面もありますが、労働力不足などの観点から見れば、遅かれ早かれ対策の必要性が生じることは確かです。助成金などが支給される今のうちから雇用や労働の環境を整備しておくことで、これからの更なる高齢化と労働人口減少に対応できるよう準備しましょう。
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