企業における顧問は、豊富な専門的知識や経験をもとに経営上のアドバイスを行う役職です。顧問は会社法で設立を定められた役職ではないため、外部に委託するかどうかや勤務形態、報酬、業務内容などは企業のニーズによって異なります。企業の発展につなげるために、明確な目的を設定した上で顧問のポストを設けるようにしましょう。今回は、顧問の定義や役割、契約形態や報酬の相場について解説していきます。
顧問は経営や事業に関する助言や指導を行いますが、経営に関する決定権はありません。また、顧問の助言に基づいて行動したことで企業が不利益を被ったとしても、顧問に責任を問うことはできません。
なお、顧問は法人の経営に関する法律である「会社法」で定められた役職ではないため、設けるかどうかは企業に委ねられています。顧問には、企業の元管理職や元役員だけでなく、経営コンサルタントや税理士、弁護士など、外部の専門家が就くこともあります。
企業が顧問に求めるのは「適切な助言」です。経営に関する問題が起こったときに、いつでも助言を求めることができ、豊富な知識や経験に基づいて的確な助言をくれるのが企業の求める顧問の役割です。
顧問は「内部顧問」と「外部顧問」に分類することができ、それぞれ異なる目的を持って設けられます。
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現在の日本には、顧問に関する法律や統一された規定は存在しません。そのため、企業によって契約形態や待遇、報酬などに大きな違いがあります。
顧問との契約は、多くの場合「委任契約」で行われます。委任契約とは、業務を行うこと自体が目的の契約形態で、実際の成果に関わらず報酬が発生します。契約形態を委任契約にすることで、顧問は助言や指導の機会がなかったとしても報酬を得ることができます。場合によっては雇用契約を結ぶこともできますが、会社法で定められた役員に該当しないなど、いくつかの要件を満たす必要があります。
内部顧問の勤務形態には、毎日出勤して顧問としての業務を行う常勤と、決められた日数だけ出勤する、または必要なときのみメールや電話などで呼び出される非常勤があります。勤務時間や職務の内容は企業によって異なります。
統一された規定がないため、顧問の報酬額も企業によって異なります。外部顧問の報酬(顧問料)は、事前に相場を確認してから設定するのが一般的です。内部顧問の報酬額は企業が自由に設定できるため、企業次第と考えた方が良いでしょう。
内部顧問の報酬には、相場や基準になる金額がありません。企業によって報酬額の設定方法は異なりますが、多くの企業が、過去に務めていた内部顧問の報酬額を基準にしています。顧問になる人の経験や助言できる分野、人脈などが報酬額に大きな影響をもたらすこともあります。報酬は顧問契約を結ぶ上で特に重要な要素なので、トラブル回避のためにもよく話し合い、双方が納得してから契約を行いましょう。
外部顧問の場合、依頼する顧問によって報酬の相場が異なります。外部顧問への報酬は、顧問料として月額で支払うのが基本です。今回は弁護士と税理士の顧問料を例としてご紹介します。
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顧問は、会社法による設置義務がある役職ではありません。明確な規定が存在しないため、業務内容や報酬についても曖昧な部分が多くあります。顧問を設けるかどうかの判断も企業の自由なので、最近では顧問の設置をやめる企業が出てきたり、「顧問は本当に必要なのか」を問うウェブサイトが多くなったりしています。しかし、経営陣にとって顧問は問題を解決するための助言をしてくれる大切な存在です。顧問の豊富な経験と知識を借りて、より良い経営を目指しましょう。
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