残業代遡及支払額100万円以上の企業125社:合計約18億円。
東京労働局管下18の労働基準監督署は、昨年4月から本年3月までの1年間、残業に対する割増賃金が適正に支払われていない企業2,300社に、是正を勧告・指導を行いました。
時間外・休日・深夜労働に対する賃金を支払わないことは、労働基準法第37条(割増賃金)違反となります。平成24年度の是正の結果、支払われた金額が100万円以上なった125社の状況は以下のようになります。
平成24年度の是正の結果
健康保険の被保険者又は被扶養者の労災保険の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に対して健康保険から保険給付を行う。
- 対象企業:125件
業種別では、「商業 44件」「その他の事業 30件」「教育研究業 10件」が全産業の7割弱を占めています。 - 対象労働者:14,540人
業種別では、「その他の事業 7,392人」「商業 3,131人」「保健衛生業 1,479人」が全産業の8割強を占めています。 - 遡及額:17億6,464万円
業種別では、「商業 7億8,821万円」「その他の事業 4億2,021万円」「接客娯楽業 2億345万円」が全産業の8割を占めています。
- 1企業当たりの支払金額:1,412万円
- 労働者1人の平均支払金額:12万円
- 1企業で支払い金額が1億円を超えた事案の一例
業種:商業
問題点:事業場外労働のみなし労働時間制
事業場外であっても実際は業務のために所持している端末によって、労働時間の把握は可能であったため、事業場外のみなし労働時間制は適用外であること。端 末の記録から労働時間を確認し、割増賃金の不払も発生していること。この2点により是正勧告の対象となった。
遡及是正額、対象者:約5億円 約530人
上記の事案の他、企画業務型裁量労働制を導入している企業が労使委員会を開催していなかったため、同労働制が無効になるケースもありました。みなし労働制 を不正に利用することにより、割増賃金を支払わないケースといえます。東京労働局では、賃金不払残業を解消するための監督指導をより一層、重点的・積極的 に推進するとしています。
労働時間をしっかりと管理して、不正のない経営体制を作ることが重要です。一番に必要とされることは、労働者の過重労働を防止するためにも、残業を減らしていく企業努力です。