今回は、就業規則の届出についてです。常時10名以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出る義務があります。本社と各事業場(支社など)を管轄する労働基準監督署が異なる場合、一定の条件を満たしている場合は、本社を管轄する労働基準監督署へ一括して届出をすることができます。
※本社…いわゆる本社機能を有しており、各事業所の就業規則の作成等を実質的にまとめて行う事業場のこと。
一括出来る条件
本社と各事業場の就業規則の内容が同一であるものに限られます。変更届の場合は、対象となる各事業場の変更前の内容も同一であることが必要です。
届出の方法
例:本社の所在地が東京都内にあり、書面で届出をする場合。
用意する書類
- ア.本社の就業規則届出書、意見書(正本・控)、就業規則本体
変更届の場合は、就業規則本体に新旧条文対照表などを記載します。
- イ.一括届出の対象事業場の一覧表(2部)
一覧表には、対象事業場の名称、所在地、所轄監督署名を記載します。 - ウ.一括届出の対象事業場の意見書(正本)
事業場ごとに1部必要です。 - エ.一括届出の対象事業場の就業規則本体
事業場を管轄する監督署ごとに1部必要です。変更届の場合は、就業規則本体に新旧条文対照表などを記載します。
届出の手順
- 届出先(1)本社を管轄する労働基準監督署
就業規則一括届出であることを申し出て、ア〜ウを提出します。審査後、一括の要件を満たしていれば、ア.を受理した控えと、イ.(1部)、ウ.が返却されます。 - 届出先(2)東京労働局内の就業規則配送作業室
届出先(1)で返却されたイとウ、およびエを配送作業室へ持参または郵送します。イ〜エは、配送作業室から各監督署に送付されます。
注意点など
- 就業規則届出書や事業場一覧表などの欄外に「各事業場の就業規則は本社と同一内容である」旨を明記し、また変更届の場合には「各事業場の就業規則は変更前および変更後とも本社と同一内容である」旨を明記しましょう。
- 本社および各事業場の就業規則受理年月日は、本社を管轄する監督署で受理された日になります。
- 就業規則配送作業室から対象事業場を管轄する監督署へ送られた就業規則の控えなどは、返送されません。
厚生労働省リーフレット「就業規則、36協定の本社一括届出について」
遠方の監督署へ就業規則の届出を郵送で行うと、予想以上に日数がかかってしまう場合もあるので、色々な地域に支店や店舗がある会社には便利な制度と言えそうです。