キャリアデザインとは、自分の人生や仕事をしていく上で将来のなりたい姿や目標を自分自身で主体的に設計し、実現していくことを指します。キャリアデザインの進め方としてはまず、自分の強みや弱みなどの現状把握を行います。続いて、現状や経験を踏まえた上で自分の将来像を考え、現状と将来像のギャップを洗い出します。その後、将来像に辿り着くために、どのような業務を行い、どのスキルを身につける必要があるかを考え、行動に移します。
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自分の将来なりたい姿を実現するために、働き方や生き方を主体的に設計することです。「キャリア」は、広義では「生き方」「人生」「経験」、狭義では「職業、職務の連鎖」と表現されます。広義として「ライフキャリア」、狭義として「ワークキャリア」と呼ばれます。両者は相互に影響し合っており、生き方を考える際には職業を、職業を考える際には生き方について考えることが必要です。
キャリアデザインは、生き方を踏まえたうえで自分らしい働き方を考え、なりたい将来像を実現するために必要なアクションを考える取り組みです。人生設計とも言えるでしょう。生き方や働き方に対する価値観は十人十色のため、将来像は人によってさまざまです。まずは自身の強みや行動特性、目標を洗い出し、10年後、15年後の自分のなりたい姿をイメージし、より具体的に将来像を考える必要があります。
VUCA時代への突入や終身雇用の崩壊、働き方の多様化によって、近年、キャリアデザインが注目されるようになりました。既存の常識やビジネスモデルが通用せず先が見えない世の中となったことで、個人が主体的にキャリアデザインを考える必要性が出てきたのです。終身雇用の崩壊によって転職や副業、独立など働き方が多様化し、ワークライフバランスを重視する考え方が浸透しました。仕事とプライベートのどちらに重きを置く方が向いているかは人それぞれです。将来納得のいく働き方・生き方をするためにも、早い段階で将来像を明確化して目標達成に向けた計画を立てる必要があるのです。
キャリアデザインは個人が主体的に取り組むものですが、企業が支援することで従業員エンゲージメントの向上や組織力の強化が期待できます。従業員が理想のキャリアを見つけることで離職してしまうおそれもあるかもしれません。しかし、企業がキャリアデザインを支援することで、従業員は自分たちのことをしっかり考えてくれていると感じ、愛社精神が高まると考えられます。また、目標の明確化によって自立型人材が育ち、組織力の強化が図れるのです。
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まずは、これまでの自分のキャリアを振り返り、行動特性や得意なこと、苦手なこと、持っているスキルなどを洗い出します。厚生労働省が公開している「ジョブ・カード」「キャリアマップ」「職業能力評価シート」などを活用すると効果的な自己分析ができるでしょう。適性検査を受け、客観的に自分を見つめなおすことも有効です。今まで気が付かなかった行動特性や課題を洗い出し、現状を把握しましょう。
続いて、自己分析の結果をもとに将来なりたい理想像を具体的にイメージします。キャリアデザインでは、結婚や出産、マイホームの購入などのライフイベントを含めて働き方を考えることが大切です。イメージが難しい場合は、「やりたくないこと」を考えてみましょう。たとえば、「仕事ばかりで疲れて寝るだけの毎日は嫌だ」という簡単なものでも良いのです。その場合は、「効率的に仕事をこなし、帰宅後は趣味を楽しんでいる自分」というようにイメージできるでしょう。
最後に、将来なりたい理想像を実現するための行動計画を立てましょう。必要なスキルや経験を考え、年齢ごとに目標を設定します。たとえば、管理職を目指す場合、○歳までに資格を取る、〇歳までに実績を出す、〇歳に管理職に就く、という行動計画が考えられるでしょう。行動計画にはライフイベントを盛り込み、そのタイミングまでに収入や貯蓄を増やすことを目標とするとより具体化します。目標との乖離が見られたら、設計内容を臨機応変に変更したり修正したりすることが大切です。
キャリアデザイン研修とは、将来なりたい理想像と組織からの期待や外部環境の動向に基づき、スキル・興味・価値観などの自己認知と現在と将来のキャリアについて考えるプログラムです。若手社員研修や管理職向けキャリア研修といった年齢層に応じたプログラム内容にすることがポイントとなります。継続的に研修を実施し、従業員のキャリアに寄り添った長期的な支援を行うことが望ましいでしょう。
目標管理制度とは、従業員が設定した目標の進捗状況や達成度合いによって人事評価を行うマネジメント方法です。自分のキャリアデザインに基づいた目標の達成が評価に反映されることで、成功体験となりモチベーションが高まるでしょう。ただし、目標がノルマにならないように注意してください。従業員に定期的にヒアリングを実施し、進捗状況や達成度合いをチェックしながら適宜サポートを行います。
柔軟な人事制度の整備もキャリアデザインの支援に有効です。具体的には、自己申告制度や社内FA制度、ジョブリターン制度などが挙げられます。フレックスタイム制やテレワーク、時短勤務なども導入することで、従業員のなりたい理想像を叶えやすくなるでしょう。多様な働き方に応じて、公平な評価ができるような評価基準を設けることも重要です。従業員が自己実現しやすくなるだけでなく、離職の防止や応募者の増加も期待できます。
今回は、キャリアデザインの概要や設計方法、企業によるキャリアデザイン支援について解説しました。不確実性の時代において、個々の労働者が主体的にキャリアデザインを考える必要があります。そのためにも、企業が積極的にキャリアデザインの支援を行うことが大切です。キャリアデザインを支援することで、従業員が希望する働き方を知るきっかけにもなるでしょう。この機会に、キャリアデザインの支援に取り組んでみてはいかがでしょうか。
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