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会社法改正が今年の株主総会にもたらす影響とは?

2019年12月に公布された改正会社法は、公布から1年6ヶ月以内に施行される予定です。改正内容の中には、今年の株主総会から準備しておくべき事項もあり、6月に株主総会を開く多くの企業で対応が急がれます。今回は、改正会社法における変更点と企業の対応について解説していきます。

会社法とは

会社経営に必要なルールを法律化

会社法とは、会社の設立や解散、組織運営、資金調達など、会社経営に必要なルールを法律にまとめたものです。会社法は全8編、979の条文で構成されています。会社法第1編第1条に「会社の設立、組織、運営及び管理については、他の法律に特別の定めがある場合を除く他、この法律の定めるところによる」と記されているとおり、会社法は会社経営を行う際に欠かせない重要な法律です。

2005年に初めて制定

会社法は2005年6月29日に成立し、同年7月26日に公布されました。会社法が作られる前は、「商法第2編会社」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律(商法特例法)」、「有限会社法」という3つの法律の中から当てはまる法律を代用していました。しかし、以下の理由から新しい法律の作成が求められたため、2005年に会社法が作られることになりました。

  • 1899年に制定された商法と1938年に制定された有限会社法はカタカナ文語体で表記されていたため、読みやすいひらがな口語体に変更したかったから。
  • 「商法第二編 会社」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(商法特例法)、「有限会社法」の3つの法律があるため分かりにくかったから。
  • 1899年に制定された商法は、何度も条文が改正され枝番が増えすぎた。会社法を制定すると同時に商法も見直し、全体の整合性を保ちながら条文の整理を行う必要があったから。
  • 時代の流れとともに企業の経営環境も国際情勢も変化しているため、法律にも柔軟な対応が求められるようになったから。

2014年に1度目の大型改正施行

2014年6月20日、国会で会社法の一部を改正する法律が成立しました。2005年に施行されてから細かな修正が繰り返されてきた会社法ですが、2014年6月20日に成立した会社法改正案は、それまでとは異なる大型改正を行う内容でした。この会社法改正を「第一次改正」と呼びます。2014年の会社法改正は、コーポレート・ガバナンスの強化と親子会社に関する規律等の整備を主な目的として行われました。

2019年に改正会社法が成立

2019年12月4日、「会社法の一部を改正する法律」と「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が成立しました。2014年の第一次会社法改正では、「施行から2年が経過したころに、コーポレート・ガバナンスにかかる制度のあり方を検討すること」「必要があると判断した場合は、社外取締役を置くことの義務化など、措置を講じること」という附則の追加が行われました。この附則に基づいてさまざまな議論が重ねられた結果、2019年10月18日に会社法の改正案・整備法案が閣議決定され、12月4日に可決、成立となりました。

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会社法改正における変更点

株式総会に関る規律の改正

  • 株主総会資料の電子提供制度の新設と、上場会社に対して電子提供制度を義務化
  • 1度の株主総会で株主提案権を持った株主が提案できる議案数を10に制限

取締役等に関する規律の改正

  • 上場会社の取締役会は、取締役の個人別報酬について決定方針決定を義務化
  • 取締役に対する報酬として株式や新株予約権を付与した場合、金銭などの払い込みは不要
  • 業務を行ったことで発生したトラブルにより、役員が責任追及を受け費用が発生した場合、かかった費用は会社が保障(必要な手続きや情報公開の義務が明文化された)
  • D&O保険に関する新たな規定が設けられ、手続きに関する事項が決定
  • 上場会社に社外取締役の設置を義務化

その他の改正

  • 社債権者が自ら社債の管理をする場合、社債管理者より権限が限定された社債管理補助者(銀行、信託会社、弁護士、弁護士法人など)を置くことができる制度を新設
  • 株式会社が国内の他の株式会社を子会社化する際に、買収側が自社の株式を売却側の株主へ交付できる制度を新設
  • 責任追及などで取締役が訴えられた場合、和解には監査役等の同意が義務化
  • 議決権行使書面の閲覧請求を会社が拒絶する事由を明文化
  • 新株予約権に関する登記事項を変更
  • 取締役などの失格条件を削除し、規律を再整備

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今年から行うべき企業の対応

改正会社法は、基本的に公布日から1年6ヶ月以内の定められた日から施行されます。つまり、2019年12月に公布された改正会社法が実際に適用されるのは来年2021年の予定です。そのため、今回の改正会社法の適用により、2020年6月に行われる株主総会が直接的な影響を受けることはありません。しかし、前述のとおり今回の改正会社法は大幅な改定となるため、2021年に向けた早めの情報収集や対策が求められます。

 

まとめ

2019年の会社法改正は、会社経営にさまざまな影響をもたらすでしょう。新しく設置が義務付けられるものも多く、対応に苦慮する会社も出てくると思います。2020年の時点で着手できるものから準備をすすめ、会社法改正の施行時に戸惑うことがないように気をつけましょう。

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