ビジネス用語としてのアジリティとは、経営や組織運営において、激しい環境変化に即時に対応していく機敏性のことを指します。近年企業を取り巻くビジネスのスピードが増し、状況変化も頻繁に起こるようになってきたため、アジリティの向上が注目されるようになりました。アジリティを向上させるために、まず初めに現行の業務プロセス改善を行う必要があります。現在多くの企業で使用されている業務プロセスは、20世紀に作られたものをそのまま活用しています。そのため、IT環境の整備といった時代の変化に柔軟に対応できるような仕組みを新たに作り、アジリティを向上させる必要があります。
目次
アジリティの向上を目指す企業が増えている
アジリティとは
アジリティ(Agility)とは日本語で敏捷さや機敏さなどと訳せる言葉で、ビジネスにおいては環境変化に適応するために重要な経営や組織運営の機敏性を示します。例えば、意思決定のスピードや作業効率、チーム編成や役割分担のフレキシビリティなどがアジリティに含まれる要素です。不確実性が高い現代社会で事業を継続させていくために欠かせない要素として、組織のアジリティを高めようとする企業が増えています。
クイックネスとの違い
クイックネスは純粋な俊敏さを指す言葉であり、生じた刺激に対してどれだけ素早く反応できるかを指します。一方、アジリティは問題や障害に対して、的確かつ迅速に対応できるかを指す言葉です。単に速く反応するだけではなく、状況を即座に判断して自分の身体を対応させることが求められます。ビジネスではクイックネスも大切な要素ですが、変化に対してすぐに対応できるアジリティが重要視されているのです。
アジリティが注目される背景
アジリティが注目される背景としては、不透明なVUCA時代への適応が求められていることが挙げられます。VUCAとはVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)から頭文字を取った造語で、物事の不確実性が高く将来の予想が困難な状況を意味する言葉です。企業が日々の変化や発生する問題に素早く対応し、順応していくためのキーワードとして注目されています。VUCA時代において企業が生き抜くためには、速さとともに的確に判断する能力が備わったアジリティの高い組織が求められているのです。
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アジリティが高い組織の特徴
迅速に意思決定を行える
アジリティが高い組織は意思決定のスピードが速く、市場の変化に機敏な対応を行えます。変化の激しい現代のビジネスでは、自社の置かれている現状を客観的に捉える能力が欠かせません。加えて、些細な変化を見逃さずに、最適な判断から迅速に行動できる体制が求められます。アジリティの高い組織ではすべての従業員に対する情報共有が徹底されているため、意思決定までのステップがスムーズです。訪れた好機は逃さず、ピンチはすぐに察知できる組織が構築されています。
変化に柔軟に対応できる
変化に柔軟に対応できるようになることも、アジリティが高い組織の特徴の一つです。VUCA時代に適応できるアジリティが高い組織には、慣例に左右されずに互いの多様性を認め合える発想力のある人材が集まっています。加えて、積極的な情報収集をサポートする仕組みや、従業員それぞれの発想力を大切にする文化も持ち合わせています。経営陣だけでなく個々の従業員までこうしたアジリティが備わっている企業は、日々変化するビジネスの流れにも柔軟に対応することが可能です。
ビジョンが明確である
アジリティの高い組織では明確なビジョンが共有されています。ビジョンが不明確な状態だと、組織の行動基準の統一化が図れません。ほかにも、事業の進行に支障が出たり、顧客とのトラブルが発生したりする懸念が生じてしまいます。一方、明確なビジョンがあれば先が見えない状況下においても、共通の価値観を持ちながら臨機応変な対応が可能です。また、環境の変化が起きる前提でビジョンを策定されている点も、アジリティの高い組織が持つ共通点といえます。
アジリティを向上させるポイント
ITツールを活用する
ITツールを活用して企業のアジリティを高めましょう。アジリティ向上を実現するためには、組織内で迅速に行動できる環境構築が欠かせません。例えば、以下のようなITツールを導入すると、アジリティの向上に有効です。
- タスク管理ツール
- プロジェクト管理ツール
- コミュニケーションツール
- ナレッジ共有ツール
- RPA
- ペーパーレス化ツール
- クラウドストレージ
こうしたITツールを社内に整備できると、連絡事項の伝達や各種書類の申請などといった業務を円滑に行えるようになります。ビジネスの環境変化に対応するためにも、ITツールを活用して働きやすい環境を整えましょう。
現場に裁量を与える
現場に裁量を与えられるように意識してみましょう。現場は経営陣よりも日々の業務に直に接しているので、よく生じる問題や改善するための可能性を理解しています。そうした現場に権限を与えられれば、具体的な問題解決や改善策が生み出されやすくなるのです。現場の従業員が自律的に意思決定を行える環境を整えられれば、企業全体としてのアジリティを高められます。
ビジョンを浸透させる
組織全体にビジョンや経営理念を根付かせましょう。ビジョンは企業が最終的に目指す将来像やゴールのこと、経営理念は企業の使命や存在意義などの基本的な価値観を示す言葉です。ビジョンや経営理念は組織の方向性を示しており、企業で働く従業員にとっては行動の基準として機能します。明確なビジョンや経営理念が浸透していれば、不確実性の高い状況でも方向性を見失わずに働けるだけでなく、同じ目標に向かって一致団結して迅速に行動できる指針にもなるのです。
まとめ
企業を取り巻く環境の変化は激しく、柔軟な対応力が求められるようになりました。昨今を振り返っても新型コロナウイルスの蔓延や終わりの見えない戦争など、多くの企業に影響を及ぼす出来事が発生しています。そうした変化に対応し企業が成長を続けていくためには、アジリティの向上が欠かせません。ITツールの活用や働き方の見直しなど、アジリティを高める取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。