アジャイル型組織とは、顧客のニーズに対して、迅速かつ柔軟に変化に対応できる組織形態を指します。急激に変化する現代社会において、ピラミッド型組織では、上司の承認などに時間を要し、柔軟な変化に対応することが難しい側面があります。そこで、素早く社会変化に対応できるアジャイル型組織が注目されています。アジャイル型組織に移行するためには、従業員一人ひとりに変化に柔軟に対応するスキルが求められるため、企業は学習機会を設ける必要があります。今回は、アジャイル型組織の意味、注目される背景や取り組み方などについて解説します。
目次
アジャイル型組織とは周囲の環境の変化に応じて、素早く柔軟に対応できるように設計された組織構造のことです。個々の従業員の自律性や協働を重視して、短いサイクルで試行錯誤を繰り返しながらより良い成果を目指します。また、権限や責任がチームまたは個人にフラットに与えられる点もアジャイル型組織の特徴です。従来の組織よりも現場で判断して意思決定できる範囲が広くなっており、自律的な行動が促されます。
ピラミッド型組織は上意下達の組織構造で、ピラミッドの頂点に位置する経営者や事業統括責任者が意思決定します。個人やチームの判断だけで動くことは難しく、基本的にトップの指示を待ってから行動しなければなりません。一方、アジャイル型組織はリーダーを中心にフラットなチームを構成します。権限は基本的に分散していて、自律性や自発性を尊重する環境です。そのため、従業員が柔軟に判断して行動することが可能です。
アジャイル型組織の主なメリットをまとめてみました。
アジャイル型組織は意思決定が早く変化にも対応できるので、ビジネスチャンスを掴みやすいです。また、PDCAサイクルを回すスピードにも優れるので、生産性の向上も期待できます。
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VUCA時代へ対応するために、アジャイル型組織が注目されています。VUCA(ブーカ)とはVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字を取った言葉で、不確実性が高く将来の予測が困難な状態を意味します。従来の縦割りの組織ではVUCA時代への対応が難しくなっており、柔軟性があって迅速な意思決定が可能なアジャイル型組織が求められるようになりました。
DXを推進するためにアジャイル型組織を導入する企業も目立つようになりました。DXとはデジタルトランスフォーメーションの略語で、デジタル技術を活用して企業や社会を大きく変革する取り組みを指します。DXを社内で進めるためには、柔軟に変化に適応しなければなりません。また、従来の方法から脱却していくためには、迅速な判断と実行力も必要です。そうした際にアジャイル型組織は自律性やスピード感に優れているので、DXの推進との相性に優れます。
ジョブ型雇用の広がりも、アジャイル型組織が注目される要因になっています。ジョブ型雇用とは企業の職務で求められるスキル・経験・資格などを持つ人材を雇用する手法です。日本では人材を確保してから職務を割り当てるメンバーシップ型雇用が主流でしたが、近年はジョブ型雇用を採用する企業が増えてきました。ジョブ型雇用では柔軟で臨機応変な組織作りが必要となるため、アジャイル型組織が求められる場面が増えています。
まず、アジャイル型組織をスタートさせるための計画を立案しましょう。具体的には主に以下のような項目を考えてみてください。
特に、ジャイル型組織の導入で目指したいゴールを明確にすることが大切です。計画の全体像が決まったら、人材やテクノロジーなど細部の仕組みを考えてみましょう。
計画を立案できたら、最初は小規模なチームでトライアルしてみましょう。最初から組織全体でアジャイル型組織を導入してしまうと、思わぬトラブルが発生するリスクがあります。小規模なチームでトライアルすれば課題が明確になるだけでなく、アジャイル型組織を運用するノウハウを社内に蓄積することも可能です。トライアルで問題点が解消されたら、組織全体への展開を検討しましょう。
アジャイル型組織で活躍できる人材の育成環境を整えましょう。育成環境に求められる具体的なポイントは以下の通りです。
アジャイル型組織では実行と改善を繰り返すため、小さな失敗はお互いに許容できる信頼関係が求められます。柔軟に反対意見も取り入れて前進していける育成環境を整備しましょう。
アジャイル型組織はVUCA時代への対応やDXの推進などで注目されている組織構造です。アジャイル型組織は実行と改善を短い期間で繰り返して、迅速な意思決定と課題解決を可能とします。変化の激しい現代社会に適応するために、ジャイル型組織を導入してみてはいかがでしょうか。
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