新卒採用において応募者に採否を通知するプロセスは、適切に行わなければトラブルのもとになることも考えられます。採用を通知する場合は「採用通知書」を送付し、不採用の場合は原則応募書類を返送しましょう。今回は採用プロセスにおける採否の通知について、具体的な時期、必要書類、注意点について解説します。
採用か不採用かの通告は、応募者の不安を煽らないよう、できるだけ早く伝えるのが原則です。そのため、特に採用の通知の場合は、正式な書類の送付に先立って電話やメールで結果を知らせることが多くなっています。書類選考の合否の連絡は応募締め切りから2週間程度が目安となっており、試験や面接の場合はその日から1週間以内での連絡が望ましいです。面接等の選考の時に大体の期日をあらかじめ伝えておき、遅れる場合にはその旨をきちんと連絡するようにしましょう。
会社が正式に採用を伝える書類のことで、就学中の学生に交付する場合は「内定通知書」とも言います。最近ではオファーレターと呼ぶことも増えています。封書が一般的ですが、PDFデータとしてメールで届けられる場合もあります。
採用通知書は法的義務のない書類なので、会社によって交付の時期が異なります。採用活動が終了し、内定を通知したらできる限り早く送付するようにしましょう。上述のように一般的には先に電話やメールで採用の連絡が行われ、その後1週間ほどで採用通知書が届くことが多いです。新卒の場合、10月の内定式の時に採用通知書が渡される場合もあります。
採用通知書は法的書面ではないため、会社ごとに自由に様式を作成することができます。その内容としては、一般に以下の事項を記載することが多いです。
この採用通知書に添付する形で、会社によっては入社承諾書や入社宣誓書など、他の書類も送付することがあります。例えば、労働条件通知書もそのうちの一つです。労働条件通知書は必ず記載しなければならない事項が法令で定められており、会社によっては昇給に関する事項など労働条件の細則も明記します。従来では、雇用時には書面による労働条件の提示が義務付けられていましたが、2019年4月より労働条件通知書の電子化が解禁されたため、必ずしも同封する必要はありません。
また、入社までのスケジュールや連絡事項、注意事項をまとめた書類を同封することで、内定者が円滑に入社できるようにサポートする場合もあります。
採用通知書が届いただけでは内定者が雇われたことにはなりません。そのため上述のように、内定者の意思を確認して正式に書面の形に残す目的から、入社承諾書または入社宣誓書を内定者に返送してもらう場合があります。入社承諾書には、次のような事項を記載します。
以上に加えて、無断で入社を拒否しない、書類はすぐ返送する、住所等の個人情報の変更は速やかに連絡する等の誓約内容を含める場合もあります。
入社承諾書に内定者自身が署名・捺印を行うことで正式な書類となります。やり取りがスムーズに進むよう、返信用封筒を用意することも忘れずにおくとよいでしょう。
関連記事:
・「内定」も労働契約です!内定取り消しは制限されます
・内定辞退を強要していませんか?―こんな行為もオワハラに含まれます
・【人事担当者必見】入社・退社時の手続きを漏れなく徹底解説!
不採用の場合も、あらかじめ応募者へ伝えてある採否連絡の期日までに不採用の通知をしましょう。中には不採用者への連絡を怠る企業も存在しますが、応募者としては不採用であれば次の応募に取り掛からないといけない場合が多いため、やはりなるべく早く結果を通知することが望ましいです。できれば1週間以内には連絡できるとよいでしょう。
文書を応募者に郵送で送付する場合がほとんどで、略式で電話での通知を行うこともあります。大量の応募がある新卒採用の場合には、メールで不採用の通知を行う会社もあります。
不採用通知には大きく分けて次の2種類が考えられます。
どちらの場合でも、履歴書などの応募書類は基本的には返却します。会社としてどうしても応募履歴が必要な場合に限り、保存用としてコピーをとりましょう。また応募者が作成した原紙についても、不採用通知書と一緒に返送するのが一般的です。返送しない場合については、自社で責任をもって廃棄し、その旨を応募者に伝えるようにしてください。
不採用通知の内容としては、
が含まれることが多いです。採用選考の段階に応じた文言を使用し、丁寧な文章を心がけましょう。
不採用通知を郵送する際には個人プライバシーへの配慮から、本人宛の親展扱いで送付する必要があります。また、選考に時間がかかり、不採用通知書の郵送が遅くなった場合は速達で送り、遅くなった旨を詫びる言葉を入れるようにしましょう。
自社の社員としてはご縁がなかった応募者でも、今後顧客になったり、取引先に就職したり、株主になったりする可能性があります。そのため、不採用者にこそ丁寧で礼儀正しい対応をしましょう。不採用通知の中では「不合格」や「不採用」といった直接的な表現は避けるのが望ましいです。
また前述の通り、電話での通知は略式になります。時間的な理由や応募者に決まった住所がない場合など、やむを得ない理由で電話での不採用の通知を行う際には、受け手の気持ちに配慮した時間帯や言葉遣いを選び、担当者は会社の代表として応募者に連絡するよう心がけましょう。
採用不採用の通知には法的な決まりが存在しません。そのため、会社が応募者に通知期限を明示し、採用通知書や不採用通知書をきちんと作成し、なるべく早く結果を応募者に伝えられるとよいでしょう。必要と思われる書類を作成して誠意をもって応募者と接し、トラブルにつながらないように注意しましょう。
This website uses cookies.