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3年ルールの本格化が開始! 派遣の2018年問題のトラブルを防ぐには

労働契約法と労働者派遣法の改正により実施される、労働契約の無期転換と3年ルール適応後初めての期限が2018年に訪れます。これによって起こると想定されている雇い止めトラブルのことを「派遣の2018年問題」と呼びます。2015年に改正された労働者派遣法では派遣労働者が勤続できる期限が3年間と定められましたが、改正から3年が経つ2018年10月1日を前に、もう一度2018年問題についておさらいしていきましょう。今回は、3年ルールと労働契約の無期転換の概要、雇い止めトラブルを避ける方法について解説していきます。

2018年問題とは

2018年問題とは、労働者派遣法および労働契約法の改正の最初の影響が、2018年に出始めることからクローズアップされている問題です。2015年に改正された労働者派遣法では労働者派遣の期間制限を定めた3年ルールが、2012年に改正された労働契約法では有期労働契約の無期転換が、それぞれ新たに定められました。それらが適用された契約が2018年から満期をむかえ始めることから、労働者を長期にわたって雇い続けることを企業が嫌い、大量の雇い止めが起こるのではないかと懸念されています。

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3年ルールとは

2015年に行われた労働者派遣法改正では、派遣労働者が勤続できる期限が3年間と定められました。この改正法は2015年10月1日に施行されたので、2018年10月1日以降、実際にその期限を迎える契約が生じることになります。なお、施行日である2015年10月1日時点ですでに締結されていた労働者派遣契約は、その労働者派遣契約が満期をむかえるまでは、この改正後のルールではなく改正前の期間ルール(原則1年、最長3年の期間制限)が適用されます。

3年ルールにおける3年間の数え方には、「派遣先事業所単位」と「派遣労働者個人単位」の2種類があり、そのどちらも考慮しなければなりません。

派遣先事業所単位

派遣先事業所単位の期間制限とは、同じ派遣先の事業所における労働者派遣の受入れ期間についての制限で、原則3年が限度となります。派遣先が3年を超えて労働者派遣契約を結ぼうとする場合には、派遣先の過半数労働組合などからの意見聴取をしなければなりません。意見聴取は派遣労働者を受け入れてから3年が経つ日の1ヵ月前までに行わなければならず、一度の意見聴取で延長できる期間は3年までです。過半数労働組合が存在しない場合には、事業所の労働者の過半数を代表する者に対して意見聴取を行います。また、意見聴取の結果、過半数労働組合などから異議が示されたときは、派遣先企業はそれを踏まえて企業としての方針を説明しなければなりません。

派遣労働者個人単位

他方の、派遣労働者個人単位の期間制限とは、各派遣労働者が同じ所属に派遣される期間についての制限で、こちらも3年が上限となります。ここでの所属とは社内の所属のことで、「課」が主に想定されており、同じ人を同じ所属で3年以上受け入れることが禁止されています。ですが、過半数労働組合などからの意見聴取を行なった後であれば、他の人を新たに派遣として受け入れたり、同じ人を違う所属で受け入れ続けたりすることは可能です。

なお、派遣先事業所単位と派遣労働者個人単位の期間制限はともに、以下の派遣労働者には適用されません。

  • 派遣元で無期雇用されている派遣労働者
  • 60歳以上の派遣労働者

 

労働契約の無期転換とは

2012年に改正された労働契約法では、派遣労働者も含む有期労働契約の無期転換が新たに定められました。これは、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者が申し込めば使用者である企業は無期労働契約に転換しなければならないというルールです。このルールは2013年4月1日以降に開始した有期労働契約から適用されています。5年が経過して最初に労働契約の無期転換申込権が発生するのが2018年4月1日であるため、上記の労働者派遣法の3年ルールと併せて2018年問題とされています。

しかしながら、契約期間中に2013年4月1日以降に開始した契約の累計期間が5年間を超える場合、その契約を締結する時点で労働契約の無期転換申込権が発生するので、契約期間の累計が5年に満たない場合でもこのルールが適用されるケースはあります。

無期転換の手続き

無期転換の申し込みは労働者本人が行います。この申し込みがなされた場合、企業はこれを拒否することはできず、残存する有期労働契約が満了した日の翌日から無期労働契約になります。仮に企業側が無期転換を拒否し、またこの申し出を理由に雇い止めや解雇が行われると、労働契約法第16条に基づき、それが「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」場合は無効とされます。

無期転換ルールは、あくまで契約期間を有期から無期に転換することを義務付けるルールです。そのため、転換したからと言って労働者が正社員になるとは限らず、企業側は必ず給与や待遇を正社員同様に引き上げなければならないというわけでもありません。なお、この制度は派遣会社に雇用される労働者も対象者であり、常に仕事があるわけではない登録型派遣の労働者も、累積した契約期間が5年を経過した場合このルールの対象となります。

 

雇い止めトラブルを避ける方法

雇い止めとは、有期労働契約を更新しないことです。それまで何度も契約を更新してきたのにもかかわらず契約の更新を突然行わなければ、トラブルの原因となりえます。雇い止めを行う場合は、改正労働契約法に基づき以下のことに留意しましょう。

  • 契約更新時に次回の更新の有無を明示し、更新を行うとした場合その基準を明示する。
  • 契約更新を行わない理由として示すのは、契約期間満了そのものではなく別の理由であることが望ましい。例えば、「その労働者が関わっていた事業を縮小するため」などが考えられる。
  • 3回以上更新した場合や1年以上継続雇用した場合、雇用者は労働者に対して更新回数・雇用期間・雇用継続について期待を持たせる発言をしない。

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まとめ

労働契約法と労働者派遣法の改正は労働者の安定雇用を目指したものであり、法の趣旨に反して強引に雇い止めを行えば、それは無効と判断される可能性が高いでしょう。雇い止めトラブルを避けるためにも、有期雇用の扱いを契約段階からしっかり見直して就業規則に明記しておくことが各社に求められているでしょう。

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