somu-lier[ソムリエ]を運営するソニービズネットワークス株式会社の「突然のテレワーク」実態レポート第3弾は、事業運営のトップである執行役員が、3月2日より実施している全社一斉テレワークの現状を俯瞰的視点で語ってくれました。テレワークの良い点だけでなく、不安や懸念点なども率直に話してくださり、まさにリアルなレポートです。
「メディアを通じて新型コロナウイルスの拡大が刻々と伝わる中、テレワーク導入に対する心構えはできていました。とはいえ、原則出社不可、期間も未定という特殊な状況であるため、当社のビジネスにどのような影響が出るのか現時点では全く予測できません」。執行役員として営業部門を束ねる立場にある柏原さんは、経営幹部ならではの不安をまず口にした。
テレワークへの移行にあたり、混乱や不具合が発生しているわけではない。勤怠管理については、以前からクラウド型勤怠管理システム『AKASHI』を導入しており、9時半までにPCを立ち上げ、タイムカードをリモートで打刻をして始業するのがルール。また、営業部門では毎朝行っていた朝礼はWebミーティングに切り替えた。Teamsなどを活用してグループごとにスケジュール管理を行うなど、各現場のオペレーションは順調に機能している。「けれども、報告や情報共有などをすべて遠隔でやりとりしている現状では、ビジネスがどう動いているか掴みづらいのです。しかも今回は在宅ワークオンリーで、テレワーク本来の『柔軟な働き方』とは違います。この状態が長引いたときに従業員たちのモチベーションは続くのか、緩みや慣れが発生して生産性が低下しないか、ひいては業績にしわ寄せが来るのではないかなど、正直なところ怖さもあります」。(柏原さん)
いずれにせよ、今回の「突然のテレワーク」の是非は、数字が上がってくる1~2カ月後に判明する。「諸々不安はありますが、やるしかない状況」と柏原さん。「隅々に目を配り、事業活動のクオリティを維持するよう務めるのが私の役目と考えています」と言葉を継いだ。
もちろん、テレワークにさまざまなメリットがあることは認識している。「多くの従業員が感じる一番のメリットは、通勤がなくなることではないでしょうか」との答え。そして、「営業の仕事でいえば、オンライン商談により移動時間がなくなるのも大きいです。捻出された時間を有効に活用すれば、間違いなく生産性向上につながりますから」と言葉を継ぐ。さらには「周囲を気にせず作業に集中できる、自宅で子どもの面倒を見ながら仕事ができるといったこともテレワークのメリットです。特に今回は小・中・高が休校になって子どもが家にいる状況ですから、助かっている従業員も多いと思います」とも。
一方、テレワークのデメリットや課題についてはどうだろうか。「管理者の視点でいうと、コミュニケーションが薄くなることが最大の懸念点」と柏原さん。「メールやチャットのやりとりだけでは事務的になりがちでチームワークが育ちづらいもの。中長期的には社風の醸成にも影響するでしょう」と心配顔だ。 社歴の浅い社員の教育についても、長引けば支障が出てくると危惧している。「業務報告ひとつとってみても、新人は不慣れで上手くこなせないもの。対面であれば、その場で質問して深堀したり、アドバイスしたりといったことが可能ですが、テレワークの場合は違った工夫が必要になります」。(柏原さん) また、 部下たちのコンディションなど、毎日顔を合わせているからこそ気づけることも多いといい、定期的に面談を行うなど、何らかの対策が必要と感じているという。
対お客様の面では、これまでは1~2割だったWebでの商談が、今回のテレワーク導入によって10割となった。「10割は非常時である今だけとしても、“顔を合わせてナンボ”という営業スタイルから変わっていかなければならないことは確かです」と表情を引き締める。 課題については、「今回は間に合わなかったが、自宅のネット環境が整っていない社員のフォロー、服装などの細かな規定づくり、たとえばプライベートな空間がWebカメラに映るのはどうなのか?といった個人情報関連の問題など、対処していかなければならないことは山積しています」 (柏原さん)
最後に、柏原さん自身のテレワーク環境や実感について伺うと「仕事スペースはリビングを活用。インターネット回線は『NURO』で、通信環境は快適です。Chatwork、Zoom、Teamsなどを使っての業務進行については、今のところ不便を感じていません」とのこと。とはいえ「期間限定なら良いですが、ずっとこの状況が続くのは厳しく、そろそろ会社に行きたいのが本音」と苦笑する。「現実的な問題として、3月は決算月であり、役員会議で来期の事業戦略の詰めを行う時期ですが、テレワーク導入のためストップしてしまいました。こういったことはやはり実際に顔を合わせて話し合うべき。テレワークに向かない業務というのもありますから、その点は臨機応変に取り組んでいきたい」ときっぱりとした口調で語った。
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