新型コロナウイルス感染症の拡大にともない増加している「テレワーク」という働き方。しかしながら、急遽の導入ゆえに現場で戸惑いや混乱が起きてはいないだろうか。
3月2日より全社一斉テレワークを実施中、somu-lier[ソムリエ]を運営するソニービズネットワークス株式会社の「突然のテレワーク」実態レポート第2弾。今回は、採用業務に従事する社員のリアルボイスをお伝えします。
HR本部採用課に所属し、主に新卒者向けの会社説明会や面接業務を担当する中山さん。今回の「突然のテレワーク」については、「最初に聞いたときは、大丈夫だろうか、在宅で採用活動がどこまでできるのか…と正直不安でした」と打ち明ける。「テレワーク実態レポートVol.1」でHR本部長の渡辺さんが語ったように、開催予定だった会社説明会が中止となり、問い合わせには個別で対応することとなった。また、面接はスカイプなどを使ってのWeb面接に変更。「急ぎ面接日が決まっていた学生さんたち一人ひとりに連絡入れて事情を説明し、Web面接の日程を再調整して…と、対応に追われました」。
そして、3月2日より全社一斉テレワークがスタート。中山さんが最初に行ったのは「実家に戻ること」だった。一人暮らしをしているマンションは、仕事をする環境が整っていない。PC、スマートフォンは会社から支給されたものを使うので問題ないが、「自宅には固定電話がなく、モバイルでのネット接続にやや不安がありました。また、小さなテーブルにPCを置き、床に座って作業するという環境で、長時間はつらい。その点実家ならネット環境は万全、仕事仕様の部屋が確保でき、オン・オフの切り替えもしやすいだろうと考えたのです」。
バタバタと慌ただしく始まったテレワークだが、「いざやってみたら、意外に快適です。雑用に時間を取られることがなく、自分の仕事だけに集中できるため、業務が効率的に進んでいる感覚があります。通勤がないので時間に余裕ができ、体力的にもラク。元に戻れるか、そちらの方が心配なぐらい」と笑う。
在宅で仕事というと、どうしても気が緩みがちになるが、その点は、「Web面接やWeb会議が定期的にあるので、緊張感を保っていられます」とのこと。また「家にいるからといってラフになり過ぎないように、服装、身だしなみには気をつけています」とも。
とはいえ、もちろんデメリットも感じている。最も苦労しているのは面接業務だ。「Web面接は、顔が見えているといっても実際に会って話すのとは微妙に違うもの。対面面接の時と質問内容を変えたりはしませんが、相手もWeb面接に慣れていないケースが多いので、なかなか人となりを判断するのは難しいです」。そして「一度も対面せずに内定を出すというのはあり得ないので、最終面接は対面で実施する考えですが、今はまだ見通しが立っていません。現在の状況が長引いたら…と不安が募ります」と続けた。現在、最終面接まで進んでいる学生には待機をしてもらっているが、「いくら非常事態といっても、1週間、2週間と間が空いてしまうと相手も不安になりますし、よその会社に気持ちがいってしまうことだって考えられます。優秀な人材確保するという点からも、この状況が早く解除されるよう願います」と強い口調で語った。
さらには、「他の採用チームが どういう動きをしているかが見えづらいのも不便な点」であるという。たとえば、面接の合否など、これまではその場で即共有できていたが、テレワークではチャットなどを使って逐次連絡を取り合わねばならない。「ちょっとした報告にもひと手間かかるのがネックです。しばらく返事が返ってこないと、何かあったのかと気になりますね」。
実際にテレワークをやってみて「メリット、デメリットを実感できたことが収穫」と中山さん。一般的にバックオフィスの仕事はテレワークに不向きといわれるが、「面接がある日は出社し、資料づくりなどの作業に集中したい日はテレワークと、スケジュールに合わせて選択できる制度であれば、採用業務でも十分に活用できると思います。書類のデータ化やセキュリティの問題など、クリアすべき点は多々ありますが、柔軟な働き方を導入することで生産性も上がるのではないでしょうか」と前向きに捉えている。
関連記事:
・テレワークの実現に求められる情報セキュリティ対策とは
・テレワークを導入しよう!ルールづくりのチェックポイント
This website uses cookies.