少子高齢化が進み、労働力の確保が喫緊の課題とされている中、雇用における男女格差を解消しようとする動きが強まっています。官民が連携する「女性の活躍推進委員会」は、格差是正のためのポジティブアクションに各企業が自主的に取り組むよう呼びかけています。今回の記事では、このポジティブアクションについて、企業側のメリットや取組み例をご紹介します。
目次
ポジティブアクションとは、固定的な性別による役割分担の意識を見直し、意欲の高い女性を積極的に登用する企業の自主的な取組みのことです。アメリカなどでは、社会構造的な人種や性別による差別を解消するために、アファーマティブアクションと呼ばれる積極的格差是正措置が行われています。
ポジティブアクションは、日本の文脈におけるその1つの形とも言え、男女共同参画社会の実現のために厚生労働省などが中心となって呼びかけています。企業は採用や昇進における男女間の不平等を解消することで優秀な女性の人材を確保し、彼女らの活躍を通して業績の向上へ繋げることが期待されます。この取組みに参加し、具体的な女性の登用目標を数値として掲げている企業も存在します。
関連記事:
・外国人材の活用、できていますか?外国人材登用に役立つツール3選!
・徹底解説! 女性活躍推進法
ポジティブアクションの導入は、社会における女性の活躍を助けるだけでなく、企業に対しても多くのメリットをもたらすと考えられています。以下、いくつかの例を挙げてみましょう。
ポジティブアクションの取組みを進めるには、以下のプロセスを踏みます。
1.ヒアリングやアンケートを実施して、男女の従業員の活躍状況やデータの比較を行い、現状の分析と問題点の発見を行う。
2.その結果を基に定量的な目標値を定めるなどして、具体的な取組計画を策定する。
3.この計画に基づいて取組みの実施を進めながら、適宜現状の評価、修正を行なっていく。
ポジティブアクションの計画を策定する際には、多様な手法を選択することができます。各企業がそれぞれの現状と目標に合わせて適切な手法を選ぶことが大切です。ここでは、代表的な3つの手法を紹介します。
ポジティブアクションの具体的な取組みの例としては、以下のものが挙げられます。
原則として、新たな雇用の募集や採用を行う際にあからさまに男女どちらかの性別を優遇する措置を取ることは、男女雇用機会均等法により禁止されています。しかし、ある職域区分において女性の比率が著しく低い場合などには、女性を積極的に採用する旨を表記することは認められています。その際には、その職種の女性の従業員の割合が4割を下回っていることが条件となっています。
ポジティブアクション導入後、その取組みを順調に進めるのは決ずしも容易ではないかもしれません。その一般的な理由と対処法として、以下のようなものが考えられます。
関連記事:
・育児と仕事の両立に、時短勤務制度を利用しましょう
・託児所の設置で税制優遇!? 事業所内保育所のススメ
現在、多くの企業がポジティブアクションの取組みを始めています。
DHLジャパン株式会社は経営陣の強力なサポートの下、人事部内にプロジェクト推進室を設置し、ポジティブアクションの取組みを全社的に展開しました。若手女性従業員のコミュニティを結成して、取組みの情報発信や様々な企画を通じた成長機会を提供し、結果としてコミュニティのメンバーから3名もの女性管理職が誕生しました。この他にも社内の意識改革や、女性従業員の継続就業支援を行うなど、企業一丸となった取組みにより大きな成果を上げたことが認められ、平成28年には厚生労働大臣優良賞を受賞しました。
優秀な人材を積極的に確保していくためにも、管理職や経営者は男性のみという古い固定観念を捨て去る必要があります。長年の慣習を変えることは難しく感じるかもしれませんが、ポジティブアクションの実践は、企業や男性従業員にとっても多くのメリットがあります。これを機に、自社に出来る取組みを検討してみてはいかがでしょうか。
This website uses cookies.