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前例のないゴールデンウィーク(GW)10連休! 企業が取るべき対策まとめ

今上天皇が2019年4月30日に退位し、5月1日に新たな天皇が即位するため、5月1日は2019年に限り祝日となることが確定しました。その影響で、2019年のゴールデンウィーク(GW)は4月27日~5月6日の10連休となります。前例のない長期連休であるため、各種振り込みや4月決算の場合の対応、勤怠管理など、事前に処理すべき問題が複数あります。今回は、ゴールデンウィーク(GW)の10連休によって生じる問題と対策について解説していきます。

ゴールデンウィーク(GW)10連休で何が起こるか

今年のゴールデンウィーク(GW)は、皇太子さまが即位する5月1日が祝日になるため、4月27日から5月6日までの10日間にわたる大型連休になります。しかし、これを手放しで喜べる業界と、そうでない業界があります。

良い影響

一般的な正社員の視点からは、連休前後の多忙さを除けば喜ばしいことと捉えられているようです。特に旅行業界や外食業界などにとっては、大きな好機となるでしょう。

悪い影響

  • 病院や診療所
    祝日、休日共に休業日としている病院や診療所の場合、ゴールデンウィーク(GW)期間中は閉まっていることもあり得ます。この間、診察や手術の数が極力抑えられるため、通院していた人や急病に罹患した人が行き場を失い、救急病院などに殺到することが予想されます。そのため、病院の中には連休を通じて閉業するのでなく短めに設定するなどの対策を取っているところもありますが、この場合でも製薬会社などが営業しないために治療が滞ってしまう可能性は残ります。
  • 役所や郵便局
    通常の公務員は土日祝日が休みとされますが、各自治体により今回のゴールデンウィーク(GW)への対応は異なるので、公共サービスがどの程度機能するかを把握しておく必要があります。郵便局では郵便物の種別ごとに配達の有無が異なったり、臨時で配達日を設けるとしたり、役所であれば休日窓口や夜間窓口などとして扱ったりと、連休用の営業が適用されることもあります。
  • 銀行や株式市場など
    銀行もまた基本的に土日祝日は閉業ですので、利用できない可能性を念頭におく必要があります。支払いや振込、口座振替などの取引への支障や、手数料の変動などが考えられます。ATMの引き出しについては通常通り使えますが、紙幣切れにどこまで対応できるかは不明であり、連休前後に駆け込みが多くなると予想されます。銀行では臨時で営業するところもあるので、ウェブサイトなどで確認する必要があります。また、東証を始めとする市場関係も10連休中は閉められてしまい、原則動きません。そのため、連休中の変動リスクを避けてゴールデンウィーク(GW)前には売りが優勢になると見られます。
  • 非正規社員
    非正規社員やパート社員の場合、仕事のない連休中の給料は出ないため、このロスの分の資金繰りが問題になります。
  • サービス業、インフラ業など
    大型連休で人が押し寄せ、レジャー施設などは繁忙期になると予想されます。これに伴い、サービス業では人手不足などが発生し、サービス関係の施設や店舗に従事する人は連休中には休みにくくなる可能性が高いでしょう。また、インフラ業も同様に対応に追われ、平日以上の忙しさになると見られます。
  • 幼稚園、学校など
    基本的に休みとなります。子供達としては、新学期に定着しかけていた学習習慣が早々に抜けてしまい、例えば毎日通学していた生活が一転して怠けてしまう、何とか泣かずに幼稚園に預けられるようになった子供が家族と密着する生活にリセットされてしまうといったことが起こります。そのため、ゴールデンウィーク(GW)開けに元のペースに戻しにくくなると恐れられています。

   

お金の問題

連休中であるかどうかにかかわらず、支払いや決算の期日は守らなくてはなりません。また、法律上その期日までに納める必要のあるものもあります。しかし、前述の通り銀行が変則的な営業となるので、振込や口座振替は慎重に行う必要があります。以下、ゴールデンウィーク(GW)に気をつけたい各種問題について説明していきます。

銀行を介する支払い・引き落とし

ゴールデンウィーク(GW)中、ATMは動いていても金融機関が開いていなければ、振込みや引き落としができません。契約内容にもよりますが、給料や代金支払いは期日の日が休業日ならば、その前営業日に振り込まれるのが基本です。口座振替の場合は、その翌営業日に引き落とされます。連休中もこの両方について滞りなくお金を動かすには、期日の日の前営業日までに、全額まとめて入金しておく必要があります。今年のゴールデンウィーク(GW)では、その間に期日が来る支払いの全てを4月26日までに用意しなくてはなりません。そのため、どの支払いがいつ引き落とされるのかを個別に把握した上で、資金繰りまで済ませておくことが不可欠です。

3月決算の場合での決算賞与

上記に付随して特に注意が必要なのが、決算賞与です。税法上、決算賞与については、通知した日の属する事業年度が終了した日の翌日から1ヵ月以内に支払っていることが条件として取り決められています。したがって、本来ならば4月1日から1ヶ月の猶予がありますが、今年は4月26日までに支払っておくことが安全と考えられます。もし支払いを逃してしまえば経費として扱われない可能性が高いため、注意が必要です。

4月決算の場合での年払いの短期前払い費用など

家賃や生命保険料などが該当する可能性があります。この場合も、支払った日の属する事業年度の損金に算入した状態であれば認めるとされているため、4月末日までに支払いを終えなくてはなりません。振込みを指定しているのならば営業日中に、口座振替を指定していて休業日後に引き落とされる仕様ならば、振込みに変更してもらうなどの対応をしてください。

   

勤怠管理の問題

更なる大型連休の問題で、特にサービス業やインフラ業に当てはまるものとして、従業員の人手不足などの問題があります。10連休を全日休まれてしまうと困るという場合は、就業規則の見直しを行ってください。所定休日の定め方を、祝日法に則り土日祝日を休業とするのか、国民の休日も休業とするのかなどによって、工夫次第では連休中にも就業日を設けられる可能性があります。もしそれでも規定として10連休が認められるのであれば、以下のような方法も検討しましょう。

休日手当を出す

休日出勤させた上で休日手当を出すことができます。費用は嵩んでしまいますが、人手不足は解消されるでしょう。休日出勤させるのであれば、企業内の規定で決められた期日までに命令などを出す必要があります。

休日を振り替える、変更する

上手に規定を利用して休日を振り替えることができれば、賃金などの差額に変動なく出勤させることができます。この場合も、早めに通知しておく方が安全です。それでも上手くいかないのであれば、就業規則を変更して就業日とすることができます。その際、従業員の過半数から了承を取り、従業員にとって不利益な変更であると認識されない方が無難でしょう。ただし不利益な場合でも、反対意見を把握すれば変更自体は可能です。

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その他の問題

大型連休の問題として上記の他にも考えられるのが、セキュリティ問題です。ゴールデンウィーク(GW)中はシステム関係者も軒並み閉業となってしまう可能性があるので、管理者のいないシステムが、何の調整もされない状態のまま放置されることになります。もし連休間近にバグの発生やマルウェアの感染が起きても、エンジニアや責任者がいないので対応の仕様がありません。大型連休に入る際には、セキュリティの整備を行ったり、デバイスの電源を落としたり、アップデートや持ち出し規則の徹底をしたりすることで、注意喚起を行いつつ最大限にセキュリティ対策を行っておくことが重要になります。

    

まとめ

ゴールデンウィーク(GW)と言うとまだ遠いことのように思えるかもしれませんが、もし申請や手続きを求められれば、1、2ヵ月前から書類の準備が必要になることもあります。早めに対策を立てて万全を期し、ゴールデンウィーク(GW)の混乱にも柔軟に対応できるようにしておきましょう。

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