今上天皇が2019年4月30日に退位し、5月1日に新たな天皇が即位するため、5月1日は2019年に限り祝日となることが確定しました。その影響で、2019年のゴールデンウィーク(GW)は4月27日~5月6日の10連休となります。前例のない長期連休であるため、各種振り込みや4月決算の場合の対応、勤怠管理など、事前に処理すべき問題が複数あります。今回は、ゴールデンウィーク(GW)の10連休によって生じる問題と対策について解説していきます。
目次
今年のゴールデンウィーク(GW)は、皇太子さまが即位する5月1日が祝日になるため、4月27日から5月6日までの10日間にわたる大型連休になります。しかし、これを手放しで喜べる業界と、そうでない業界があります。
一般的な正社員の視点からは、連休前後の多忙さを除けば喜ばしいことと捉えられているようです。特に旅行業界や外食業界などにとっては、大きな好機となるでしょう。
連休中であるかどうかにかかわらず、支払いや決算の期日は守らなくてはなりません。また、法律上その期日までに納める必要のあるものもあります。しかし、前述の通り銀行が変則的な営業となるので、振込や口座振替は慎重に行う必要があります。以下、ゴールデンウィーク(GW)に気をつけたい各種問題について説明していきます。
ゴールデンウィーク(GW)中、ATMは動いていても金融機関が開いていなければ、振込みや引き落としができません。契約内容にもよりますが、給料や代金支払いは期日の日が休業日ならば、その前営業日に振り込まれるのが基本です。口座振替の場合は、その翌営業日に引き落とされます。連休中もこの両方について滞りなくお金を動かすには、期日の日の前営業日までに、全額まとめて入金しておく必要があります。今年のゴールデンウィーク(GW)では、その間に期日が来る支払いの全てを4月26日までに用意しなくてはなりません。そのため、どの支払いがいつ引き落とされるのかを個別に把握した上で、資金繰りまで済ませておくことが不可欠です。
上記に付随して特に注意が必要なのが、決算賞与です。税法上、決算賞与については、通知した日の属する事業年度が終了した日の翌日から1ヵ月以内に支払っていることが条件として取り決められています。したがって、本来ならば4月1日から1ヶ月の猶予がありますが、今年は4月26日までに支払っておくことが安全と考えられます。もし支払いを逃してしまえば経費として扱われない可能性が高いため、注意が必要です。
家賃や生命保険料などが該当する可能性があります。この場合も、支払った日の属する事業年度の損金に算入した状態であれば認めるとされているため、4月末日までに支払いを終えなくてはなりません。振込みを指定しているのならば営業日中に、口座振替を指定していて休業日後に引き落とされる仕様ならば、振込みに変更してもらうなどの対応をしてください。
更なる大型連休の問題で、特にサービス業やインフラ業に当てはまるものとして、従業員の人手不足などの問題があります。10連休を全日休まれてしまうと困るという場合は、就業規則の見直しを行ってください。所定休日の定め方を、祝日法に則り土日祝日を休業とするのか、国民の休日も休業とするのかなどによって、工夫次第では連休中にも就業日を設けられる可能性があります。もしそれでも規定として10連休が認められるのであれば、以下のような方法も検討しましょう。
休日出勤させた上で休日手当を出すことができます。費用は嵩んでしまいますが、人手不足は解消されるでしょう。休日出勤させるのであれば、企業内の規定で決められた期日までに命令などを出す必要があります。
上手に規定を利用して休日を振り替えることができれば、賃金などの差額に変動なく出勤させることができます。この場合も、早めに通知しておく方が安全です。それでも上手くいかないのであれば、就業規則を変更して就業日とすることができます。その際、従業員の過半数から了承を取り、従業員にとって不利益な変更であると認識されない方が無難でしょう。ただし不利益な場合でも、反対意見を把握すれば変更自体は可能です。
関連記事:
・【2024年5月更新】残業代はすべて割り増しに?労働基準法で定める割増賃金とはどんなもの?
・雇用のルールを完全マスター!労働関係制度まとめ<前編>
・雇用のルールを完全マスター!労働関係制度まとめ<後編>
・働き方の次は「休み方」? 導入へと動く休み方改革の現在地
大型連休の問題として上記の他にも考えられるのが、セキュリティ問題です。ゴールデンウィーク(GW)中はシステム関係者も軒並み閉業となってしまう可能性があるので、管理者のいないシステムが、何の調整もされない状態のまま放置されることになります。もし連休間近にバグの発生やマルウェアの感染が起きても、エンジニアや責任者がいないので対応の仕様がありません。大型連休に入る際には、セキュリティの整備を行ったり、デバイスの電源を落としたり、アップデートや持ち出し規則の徹底をしたりすることで、注意喚起を行いつつ最大限にセキュリティ対策を行っておくことが重要になります。
ゴールデンウィーク(GW)と言うとまだ遠いことのように思えるかもしれませんが、もし申請や手続きを求められれば、1、2ヵ月前から書類の準備が必要になることもあります。早めに対策を立てて万全を期し、ゴールデンウィーク(GW)の混乱にも柔軟に対応できるようにしておきましょう。
This website uses cookies.