総務の「悲喜こもごも」を語り合う覆面座談会。前編「ノルマなしのお気楽部門。総務は会社のお荷物なのか?:現役総務4名による覆面座談会」では「総務の仕事が部外者になめられているのでは?」という嘆きが聞こえてきました。それを受けて後編では、総務に合う人・合わない人、そしてみなさんの「総務愛」を大いに語っていただきます。
参加者プロフィール
―ソムリエ編集部:外から見ると、総務ってコツコツマジメにやればいいというイメージがあると思います。
Bさん:マジメにコツコツっていうのは間違いじゃないと思いますが、それに加えて「社員に興味を持つ」ことが大切だと思います。これがあるとコミュニケーションがスムーズになって仕事がしやすくなりますよね。
Dさん:僕もコミュニケーションをとるのが得意な、営業志向っぽい人ほど総務に向いていると思います。営業は社外向けのサービスをしていますけど、それと同じように総務は社内向けのサービスを展開しているので。
Cさん:営業に向いている人っていうのはその通りだと思います。「社内だからこのクオリティでいいだろう」なんていう考え方は許されないですから。ただ、ある意味、営業よりシビアかもしれない。総務の場合、「このお客さまはダメだったけど、次のお客さまでは頑張ろう」っていう話になりませんから。僕らのお客さんは社内にずっといるので、キッチリ満足させていかないと。
Aさん:僕はエンジニアだったから思うんですけど、機械ってオペレーターが手順書通りに動かせばその通りに機能するじゃないですか。総務の場合は、社員500人いたら500通りの手順書が必要になる。つまり、この人にはこんなふうに伝えて納得してもらったけど、別の人の場合は通じないとか、そういうことがザラにあるわけですよ。社員全員と良好な人間関係を築いていく意識がないと難しい仕事ですよね。
―ソムリエ編集部:総務は人間力が問われる仕事なんですね。そういう仕事だからこそ、「こんな人は総務に来てほしくない」っていうのもありそうです。
Dさん:そうですね。僕は黙々と1人で仕事をしようとする人は向いてない気がするなぁ。ちょっとバタバタしてくると、「忙しいオーラ」を出してくるんですよね。
Aさん:分かるなぁ(笑)。ピリピリして「忙しいオーラ」とか「話しかけるなオーラ」とか出す人いますよね。
Dさん:そういう人って、周りに相談すればいいのに、プライドかなにかが邪魔をして、仕事を1人で抱え込んでしまう傾向ありません? 一度、部下が健康診断の段取りを間違えたまま進めて大ごとになったことがありました。まあこれは、「大丈夫です」という部下の言葉を信じて、途中でチェックしなかった僕も反省すべきですけど…。
Cさん:私は「言われたことをやるのが仕事」だと思っている人は総務にいてほしくないなぁと思いますね。だって、総務に相談に来る人って具体的に何に困っているのか本人が分かってないときもあるので、そこを聞き出すことができなければいい総務にはなれないと思います。
Bさん:こんな総務は嫌だっていうところでいうと、「これは自分の仕事じゃありません」とか「急に頼まれても困ります」とか、社員のお願いを突っぱねてしまう人ですね。それだと社員が総務に相談しにくくなってしまうので、ある程度は話しかけやすい雰囲気でいることも必要だと思います。
―ソムリエ編集部:受け身の人とか、仕事を増やしたくない人は、どこの職場にいても迷惑かもしれません。
Aさん:受け身で働いても面白くないと思うんですよね。さっき、営業向きの人が向いているって話がありましたけど、僕は策士っぽい人も総務に合っていると思います。例えば、オフィスをカッコよくリニューアルしたいけど予算がないとき、「使用不可」という張り紙をした壊れたイスや、オシャレな空間に合わない机をワザと社長や役員の視界に入るところに置いておくとか(笑)。僕はそれで追加予算の稟議を通しました。
Cさん:Aさん、やりますね(笑)。経営側だって会社をよくしたくないわけじゃないから、伝え方が重要だと思うんですよね。経営と現場を繋ぐのが僕らの役目。ときには経営側の意思を現場に伝えて、ときには現場の課題を経営側にフィードバックするというように。それなのに、言われたことだけやっているようでは、経営と現場の距離が離れていってしまうと思う。本来、近づけていくのが僕らの役割なのに。
Dさん:経営トップを上手く巻き込むことも大事ですよね。現場に何か伝えるとき、総務が言っているのと、トップが言っているのとだと全然伝わり方が違ってきますから。そういうことができると、会社を変えやすくなるし、仕事も楽しくなると思います。
―ソムリエ編集部:みなさんのお話を聞いていて、あらためて総務の仕事はすごくクリエイティブだし、奥が深いなぁって感心しました。
Dさん:みなさんも多分そうだと思うんですけど、なんだかんだいって総務の仕事にはやりがいを感じています。総務って言われたことをやるだけなら50点で、自分で会社をよくするために創意工夫して、それがみんなに評価されて100点だと思うんですよね。満点とるのはものすごく大変なんだけど、だからこそ面白いわけで。
Bさん:私はもうすぐ定年になりますが、この歳になってもチャレンジばかり。今まさに管理会計の勉強をしている最中なんですよ。振り返るといつも新しいことを学ぶ努力をしていて、総務の仕事って本当に奥が深いなぁって思います。
Cさん:会社が成長していくなかで、それに合わせて総務の業務内容もダイナミックに変化させているのですが、僕はここにやりがいを感じています。会社を作っていく手応えがあるんですよね。
Aさん:僕は総務のいいところって、自由になんでもできるところだと思っています。総務って法令に違反しないことならなんでもやっていいっていうくらい、仕事の幅がものすごく広いでしょ? 僕は「ああしたい」「こうしたい」っていうアイディアがどんどん出てくるタイプなので、それを実現できる総務は天職ですね。
―ソムリエ編集部:最後にみなさんから若手の総務への応援メッセージをいただければと思います。
Bさん:部下には、早く自分で考えて動けるようになってほしいですね。そして、結婚しても、子どもを産んでも続けてほしいというのが心からの願いです。
Cさん:総務って本気でやったら大変ですけど、大変だと思うくらいやらないとどんなこともうまくいかないし、成長しないと思うんですよね。これはきっとほかの仕事でも言えることだと思います。だから大変だと思えるまでやってほしい。
Dさん:個人的には、会社を変えたいとか、そういう野心を持っている人こそ、総務にチャレンジしてほしいなって思います。僕はそういう想いを持っている人を応援したいですね。
Aさん:どの仕事も同じなのかもしれないけど、本人が仕事を楽しむことがすごく大切なんじゃないかなって思います。楽しければ忙しいときも充実しているって思えるし、そういう空気感って職場の雰囲気を良くすると思うんですよね。今総務の仕事がつまらないと感じている人にぜひ伝えたいです。
―ソムリエ編集部:今日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございました!
座談会が始まる前、総務の仕事に「何でも屋さん」に近いイメージを少し持っていました。すみません!
実際は「社員の悩みを解決するコンシェルジュ」であり、「経営と現場のつなぎ役」であり、ときには「会社の危機を救う救世主」になることもある…総務って本当に奥が深い!
4人の仕事に取り組む姿勢は全てのビジネスパーソンが見習うべきものがあるし、大きな総務愛にも感動!若手の総務へのメッセージは私の胸にも刺さりました。
以上、ソムリエ編集部員のレポートでした!
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