厚生労働省は、国内企業の更なる生産性向上を目指して、11月を職業能力の開発のための「職業能力開発促進月間」と位置づけています。さらに職業能力開発に役立つ制度として、「教育訓練給付制度」を設けています。この月間を機に、ぜひ教育訓練給付制度を利用してみてはいかがでしょうか。本記事では、教育訓練給付制度の支給要件や申請手続きについて、解説します。
「教育訓練給付金」とは、雇用の安定と再就職の促進を目的とした制度です。具体的には、教育訓練講座の受講料の一部の支給・受講に伴う諸経費の負担を行う雇用保険の給付制度を指します。
教育訓練給付制度の中で、従業員の能力開発のためにぜひとも利用したい制度として、以下の2つについて詳しく説明していきます。
一般教育訓練給付金は、情報処理技術者資格や簿記検定などの取得を目指すための講座を補助対象としています。これらの支援対象は、短期間で取得できるものも多いですので、従業員がより手軽にスキルアップすることができます。
専門実践訓練給付金は、看護師などの資格や専門職大学院、職業実践力育成プログラムなどを補助対象としています。より専門性の高いものとなっていますので、一般教育訓練給付金の講座よりも、中長期的な視点での従業員のスキルアップが望めます。
従業員のスキルアップは、「働き方改革」を推し進める中で重要な課題です。いずれの制度もスキルアップを補助してくれる制度となっていますので、自社と親和性の高い制度があれば、ぜひ利用してみてください。
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情報処理技術者資格、税理士、宅建士、危険物取扱者、TOEICに至るまで、多彩な講座が開講されています。短期間で終わる講座も多いのが特徴です。詳しくは、ハローワークの講座検索で確認してみてください。
要件は大きく分けて3つあり、全てを満たす必要があります。
基本的には、教育訓練施設に払った教育訓練経費の20%が支給されます。ただし、4000円より多い場合のみ支払われ、最大10万円となっています。
必要書類は、以下の7点になっています。
場合によっては以下の3つの書類が必要になります。
看護師、救急救命士、建築士、保健師などの取得に時間を要する資格などがあります。また、専門学校の職業実践専門課程や専門職大学院、職業実践力育成プログラムなど、専門的な知識を身につけるための講座も多くあります。ほとんどが1年以上の講座で、長期的なものとなっています。
要件は大きく分けて3つあり、全てを満たす必要があります。
専門実践教育訓練を受講中と修了後に、分けて支給されます。
受講中は、教育訓練施設に支払った教育訓練費の40%が支給されます。ただし、4000円より多いときに支払われ、年間の上限は32万円となります。
修了後は、資格習得などをして、訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合に、教育訓練施設に支払った教育訓練費の20%が追加で支給されることになります。ただし、4000円より多いときに支払われ、受講中と修了後の合計支給額の上限は144万円(訓練期間が3年の時)となります。合計支給額の上限は訓練期間が1年の時48万円、2年の時96万円となっています。
必要書類は、以下の4点になります。
場合によっては以下の2つの書類が必要になります。
この申請ですが、期間が決まっているので注意しましょう。受講中の場合は、受講開始日から6ヶ月ごとに区切った期間の末日の翌日から1ヶ月以内となっていて、受講修了後の場合は、受講修了翌日から1ヶ月以内となっています。
また、受講修了後に資格取得をし、雇用された際の追加給付を申請する場合は、雇用された日の翌日から1ヶ月以内となっています。すでに雇用されている場合は、受講修了し資格を取得した翌日から1ヶ月以内となっています。
手続きは、正しく行うようにしましょう。不正に手続きをすると、支給額の返還だけでなく、支給額の2倍をさらに納付する必要があります。また、詐欺罪に問われることもあります。
今回は、教育訓練給付制度の概要をご説明いたしました。最大で60%の費用を補助してくれる制度ですので、この機会に従業員のスキルアップに踏み出し、企業全体の活気作りのきっかけとしてみてはいかがでしょうか。
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