2018年3月28日~4月26日に行われた「総務の森×somu-lier」コラボアンケートでは、総勢226名もの総務部門の関係者の方々にご協力いただき、環境実態調査を行いました。
今回はアンケートでご回答いただいた、会社規模や役職、経験年数、年齢、業務範囲、業務担当人数、働き方改革の実行の有無など、さまざまな項目を集計し、総評していきます。
回答者の基本データ
バックオフィス業務について
回答者の”3割”が一人総務
バックオフィスの業務担当人数が一人であると回答された方は、全体の約3割にまで及びました。中には、一人で1,000人以上の規模の企業のバックオフィス業務を担当しているといった回答も見られました。
全体的に見ると、バックオフィスの業務担当人数が一人である企業は会社規模が小さく、業務範囲も多くはない傾向にありました。バックオフィスの業務担当人数が多い企業と比べて、一人総務での業務範囲は少なくなっているためか、一人総務であることは課題に直面する可能性を高める訳ではないようです。
しかし、一人総務の問題は、課題に直面してしまったときに発生します。
バックオフィス業務を一人で担当していると、課題と直面したときに相談する相手がなかなか社内では見つかりません。実際に、集計結果でも一人総務の方の相談相手は「社外の友人・知人」や「顧問契約している専門家」などの外部の人間が目立っていました。
そんな「一人総務」に関する悩みや困りごとに関するトピックを「総務の森」サイトの相談の広場Q&Aからピックアップしました。ぜひ参考にご覧ください。
一人総務のご相談事例(「総務の森」サイトより):
・ひとり総務・経理
・複数事業におけるひとり総務について
・総務は昼休みでも受付中?
・一人で不安です 給与計算ほか
バックオフィスが直面している課題
アンケートでは、課題直面頻度や相談相手以外にも、現在直面している課題について具体的な内容もご回答いただきました。
【実際に直面した課題事例】
- 長時間労働の解消
- 人員不足
- 長距離通勤
- 紙資源の大量使用
- 人事労務業務の効率化
- 後継者の育成
- 残業が減らない
- 総務領域の仕事への認識不足
- 若年層の継続年数の低さ
- 新しいシステムの導入が拒まれる
- 高齢化
- 本部や経営者、上司らとの齟齬
- 女性の活躍
- 勤怠管理
以上のように、バックオフィス担当者の抱えている課題は多種多様で、容易に解決できないものが多く見られます。
特に、長時間労働の解消と人員不足を課題としている、といった意見が目立ちました。働き方改革により労働環境の改善が図られていますが、個人の労働の負担を減らすことに苦労している方が多いようです。
しかし、アンケート集計結果から、バックオフィスの業務担当年数が増えると課題直面頻度が減るということがわかりました。経験によるバックオフィス業務への知識が課題解決に繋がっていると考えられます。バックオフィス業務遂行には日々の勉強は欠かせませんね。
また、以上に挙げた課題に関連したsomu-lierの記事をいくつかピックアップしました。
課題解決のヒントとしてぜひご活用ください。
関連記事:
・働き方改革実行計画が決定!Vol.2 ~長時間労働の是正について~
・採用代行(RPO)を利用し、採用業務を効率化しましょう
・徹底解説! 女性活躍推進法
働き方改革について
働き方改革実施の広まり
一億総活躍社会に向けて多様な働き方を実現していく、働き方改革が全国規模で進められています。
アンケート集計結果によると、およそ18%の企業が働き方改革をすでに実施しているとのことでした。また、働き方改革の導入を検討中/対応中といった回答は全体のおよそ45%にまでおよび、働き方改革が広く社会に浸透してきていることがわかります。
【働き方改革の導入事例】
- ノー残業デーの導入
- テレワークの導入
- 育児・介護休業・副業許可
- 紙媒体から電子媒体への移管
- 定時退社奨励
- 時間単位の有給制度
- 業務効率化
- フレックスタイム制導入
一人総務の方でも「働き方改革」に取り掛かっている例として、ノー残業デーの導入や定時退社奨励、フレックスタイム制導入がありました。
働き方改革を実施する上での課題
一方で、働き方改革をまだ実施していないという回答はおよそ35%にのぼりました。
50人未満の会社規模だと約5割、1,000人未満の会社規模でも約4割を占めていて、規模の小さい企業での働き方改革導入が滞っていることが判明しました。
また、業務担当人数が少ない企業でも働き方改革の実施が遅れている模様です。一人総務の方や2人で総務を行っている場合では、働き方改革を実施していないと答えた方が約半数にも及びました。
業務担当人数が少ないことや会社規模が小さいことが、働き方改革を導入できていない原因の一つであるということがアンケート結果から読み取れます。
働き方改革を進められないという課題は、人員不足など会社そのものの直面している課題と密接にリンクしているようです。
このような課題に悩んでいる企業が働き方改革を実施するためには、導入に負担の掛からない働き方改革に取り組む必要があります。
そこで、一人総務の方や会社規模の小さい企業のバックオフィス担当者の方でも導入が容易な働き方改革の事例や、働き方改革導入への専門家からのヒントをピックアップしました。ぜひ、参考にご覧ください。
関連記事:
・残業削減に「事前承認制度」を! メンタルヘルスの改善効果も
・活用できてますか? ノー残業デーを形骸化させないコツ
・「プラスワン休暇」で年休の計画的取得を促進しましょう!
働き方改革の専門家アドバイス事例(「総務の森」サイトより):
・働き方改革で企業が一番に取り組むべきこと
・勤務間インターバルを導入するのは難しくない。
・働き方改革関連法案について
・社長が変われば人材不足は解消する
また、働き方改革を実施する上での課題として、人員が足りないことの他にも、上司や経営陣の理解に欠けているといった意見が多く見られました。
働き方改革をもっと推進していくためには、情報をさらに周知していく運動が必要となりそうです。
まとめ
アンケート集計結果から、バックオフィス業務を一人で担当する「一人総務」の多さや多種多様なバックオフィス業務の課題が浮き彫りになりました。働き方改革の実施についてもその課題の一つです。
課題解決のためには、バックオフィス業務への知識を身につけていく必要があります。働き方改革などを実施することで経営の健全化や職場環境の改善を目指しましょう。