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社員に検温を義務付けるのはOK?管理の方法や注意点を解説

新型コロナウイルス感染防止対策の一つとして、従業員に検温を義務付けている企業が増えています。しかし、検温の義務が正しく理解されないケースや、体温を報告したくない従業員の存在に頭を悩ませている企業は多いようです。そこで今回は、日本企業における検温に対する取り組みや検温のためのデバイスの種類、報告・管理のポイント、おすすめの体温管理システムについて解説します。

検温の義務について

そもそも検温の義務化は可能?

検温のように、それ自体が業務内容とは関連のない行為を従業員に義務付けることはできるのでしょうか?例えば、ワクチンの場合、いくら接種が勧められているものだとしても、企業は従業員に強制できません。なぜなら、ワクチン接種は注射器によって「身体の侵襲」をするものであるため、「その意思決定は従業員個人に委ねるべき」、とされているからです。その点、検温に関しては、「身体の侵襲」には該当しないため、義務付けても問題ありません。もちろん、検温義務に協力しない場合には罰則(懲戒処分など重い罰則を除く)を設けることも可能です。また、厚生労働省による「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」においても、職場の感染リスクを低減するための施策の一つに、従業員や訪問者などの体温測定を挙げています。 2021年に行われた、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正によって、新型コロナウイルスについてもこの法律に準じた対策が取られるように定められたことからも、従業員に対する検温の義務化は許容されていると考えられます。

検温は安全配慮義務に含まれる

安全配慮義務とは、従業員の生命や身体などの安全を確保して労働をするために必要な配慮を企業が実施するもので、労働契約法第5条によって定められています。新型コロナウイルス感染症への対策を講じることは、企業にとっては果たすべき安全配慮義務に該当します。そのため、検温や消毒などの対策は、企業の任意で行うものではなく、義務であるという認識を持たなければなりません。新型コロナウイルス感染対策に関連する安全配慮措置には、以下が挙げられます。

  • 検温を義務化することで、感染者が、すぐに発見・報告される仕組みを構築する
  • マスク着用を義務付ける
  • アルコール消毒液を設置する
  • 定期的な換気を実施する
  • 咳エチケットや手洗いを徹底させる

プライバシーへの配慮

検温を義務化するといっても、それはあくまで感染防止対策の一環として行われます。従業員の体温を公開しても良い理由にはならないため、情報の扱いには気を付けましょう。一般に、体温それだけの情報では要配慮個人情報として扱われることはありませんが、体温測定によって持病の特定に繋がってしまったり、女性は体温測定で生理周期がわかってしまったりする場合もあります。新型コロナウイルス感染症の対策目的以外で、検温から得られた情報を使用することは避け、セキュリティ対策など情報管理も徹底しなければなりません。

  

報告・管理のポイント

誰がいつ何度だったのかを記録に残す

検温は、ただ行えば良い訳ではありません。従業員ごとに体温データを整理し、わかりやすい記録に残すことが大切です。適切なデータ管理を行っておくことで、万が一感染者が発生した場合も、データをさかのぼって濃厚接触者を特定できます。そのため、従業員から報告を受けるだけではなく、しっかりと記録・管理しましょう。

体調管理チェックシートと併用する

検温の記録は、体調管理チェックシートと併用することで、従業員の健康状態をより細かく把握することが可能です。チェックシートの内容は、業種や目的によって多少異なりますが、多くの場合、咳やのどの痛み、鼻水、倦怠感など、風邪に類似した症状が無いかを確認するものが使われています。また、必要に応じて、新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触があったかどうかなど、従業員の行動に関する設問も設けましょう。

  

検温のためのデバイスの種類

接触型体温計

接触型体温計は、脇下など肌に直接当てて体温を測定するタイプで、電子体温計や水銀体温計などがこれにあたります。一般的に利用される電子体温計では、温度が変わると電子抵抗が変化するサーミスタと呼ばれる半導体素子の仕組みを活用して体温を測定しています。30秒程度で体温を測定できる電子体温計も登場しており、水銀体温計に比べると測定時間は大幅に短縮されました。

非接触型体温計

非接触型体温計は、私たちの体表から放射される赤外線量を測定して、温度に換算して表示します。接触型体温計に比べて測定時間が非常に短いので、大人数の体温測定をしなければならない場合などに、非接触型体温計は有用です。さらに、体に触れずに体温を計測できるため、皮膚からの感染抑制と消毒の手間を軽減できるメリットもあります。

温度検知機能付き顔認証デバイス

温度検知機能付き顔認証デバイスは、サーモグラフィカメラと顔認証機能の組み合わせで健康管理を行えるシステムです。カメラで撮影された情報から個人認証と温度測定を同時に実施することで、発熱疑いの人をリアルタイムで判別します。非接触型体温計よりもさらに効率的な体温測定とデータ管理が可能なため、商業施設やオフィスビルなどで広く導入されています。

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おすすめの体温管理システム

クラウド型勤務支援ツール「somu-lier tool(ソムリエツール)

somu-lier toolは、新型コロナウイルスの拡大防止を目的として提供されている、従業員のコンディションを可視化して健康管理を行えるツールです。従業員の体調を一覧で把握できるため、体調の変化に気づきやすく、休暇の取得を勧めるなどの対応も迅速に行えます。
また、新型コロナウイルスの陽性者が出た場合、症状や受信状況、濃厚接触者などの報告や経過観察も可能です。さらに、陽性者の接触履歴から感染リスクが高い人のリストを作成し、アラートによって注意喚起も促せます。
なお、somu-lier toolは初期費用・月額費用ともに無料です。追加コストをかけずに、上記のような充実した機能をすべて利用できます。

somu-lier toolでできること

  • 平常時
    従業員は、始業前に体温や体調、メンタルヘルスなどを問診にて自身のスマホやPCなどのデバイスを用いて報告します。また、その際にテレワークの打刻やオフィスへの出社予約についても行うことが可能です。
    管理者はダッシュボードにて従業員の健康状態を一目で確認でき、体調変化に気づいた際には、休憩や早退を促すなどの措置が迅速に取れます。また、万が一陽性者が出た場合にも、スマホアプリでのBluetoothを用いた相対位置記録で、濃厚接触者を特定できます。
  • 感染確認時
    従業員は、陽性が確認された段階で罹患報告をすることになります。
    すると管理者側では、社内の濃厚接触のリスク者が自動で特定でき、リスク者に対して注意アラートを送れます。アラートが送られた従業員を、一時出社停止することで、さらなる感染拡大を防ぐことにもつながります。また、陽性者に対しては感染問診を送れるため、体調がさらに悪化したときの対応や復帰のプロセスの設計が簡単になります。

  

まとめ

新型コロナウイルスの流行開始以来、検温はあらゆるところで実施されるようになりました。毎日の検温や体調チェックは、ときに面倒に感じることもありますが、感染拡大防止のためには重要な事柄であり、企業の大切な義務です。従業員が前向きに体調報告に取り組めるように、企業による体調確認の必要性の周知徹底と、報告しやすい仕組み作りをしましょう。

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