近年、人工知能(AI)の進歩が広く取り沙汰されています。2045年に訪れると予測される「シンギュラリティ(技術的特異点)」においては、AIが人間の知能を上回り、雇用形態に大きな変革がもたらさせることが予測されるため、ビジネスからも切り離せない話題です。一方で、新たな価値を生み出したり、意欲や満足度を向上させたりする役割は、AIには取って代わられないとも考えられています。そんなAIが発展する時代を、今後生き抜くために身につけるべきなのでしょうか。今回はAI時代に必要なビジネススキルについて解説します。
人工知能(AI)は、人間には処理しきれないほどの膨大なデータと、機械学習能力を駆使します。これによって、AIは今まで人間のしてきた仕事を代わりに行い、さらに従来人間ができなかったことをも可能にします。ここではAIの持つ機能を、実際に利用されている例とあわせて、大きく3つに分けて解説します。
AIの機能の1つに、認識する機能が挙げられます。この認識機能によって、人の声や言語を理解したり、画像や動画を識別することが可能となります。現在、すでにスマートフォンでの音声入力や、言語の自動翻訳で活用されています。また、人の感情を認識するロボットなどの開発も進められており、今後は接客業における活躍が期待されています。
過去に採取された膨大なデータを駆使して、未来に発生しうることを予測する機能です。マーケティングの分野などで、この予測機能が発揮されます。最近では、特定のエリアにおいて「タクシーを利用したい」と考えている客の人数を、30分ごとに予測する技術が開発されるなど、社会的影響力を高めつつあります。
行動の最適化・作業の自動化・デザインなど、現実に現れる効果を指します。すなわち、過去に人間が試してこなかったような新しい発見が期待されます。将棋や囲碁におけるプロを、AIが打ち負かせるようになるなどの発展を遂げています。
以上の3つの機能は、組み合わさることによって、さらなる効果を発揮します。例えば、自動運転化された自動車であれば、音声入力で目的地を指定・車体の周囲の状況を識別し(認識機能)、事故や渋滞の予測(予測機能)から目的地までの最適な経路を見出し、運転する(実効機能)というように連携して行われます。
ここまで、AIによって可能になる様々なことを紹介してきました。現在人間の行っている仕事をAIが代替することによって、仕事の効率化や新たな可能性につながることが期待される一方で、AIに仕事を奪われることを懸念する声もあります。AIが普及した時代において、私たちに求められるものは、人間だからこそ身につけられるスキルです。それには、例えば以下のようなスキルが挙げられます。
AIとは、あくまでも「心を持たない機械」です。人間の仕事をサポートし、効率化を図ることはできるかもしれませんが、人間同士のようにお互いと関わりあい協力することで思考を広げ、新しいものを創造することはできません。
また、AIには人間と心を通わせることができないので、組織のなかでリーダーシップを執り、部下の心を一つにまとめ上げるようなこともできないでしょう。
このように、他人と協力する・直接人間を相手にして仕事をするスキルは、AIに取って代わられることはなく、むしろ今後さらに重要度を増すことでしょう。
AIは、作業を自動化することや過去のデータから未来を予測することには長けています。しかし、予測していない事態に対処することや、全く新しいものを創造することに関しては人間を凌駕することはないでしょう。
また、人間ならではの感性によって、モノやサービスに価値を見出すこともAIにはできず、人間にのみできることです。このように、世の中の抱える問題を発見し、新たなサービスを考えるといった創造性も重要なスキルの一つと言えるでしょう。
AIは人間によって生み出され、人間によって利用される技術です。活用できる人がいなくてはその効果を発揮することはできません。
したがって、AIが普及した世の中では、AIを活用できることはアドバンテージになると考えられます。この「AIを活用するスキル」には、AIに関する素養だけでなく、AIをどのように仕事に活用していくか、といった創造的な側面も含まれるでしょう。AIを仕事に導入することによって、仕事の質の向上や効率化が期待できます。
また、少子化が進む日本において、AIは不足する労働力を補うことも期待されています。様々な職場においてAIの需要は高まっていき、接する機会が増えるでしょう。そのためにも、AIに対する理解を持ち合わせていることは、多くの人にとって必要と考えられます。
AIは仕事の効率化や未来の予測において、大きな力を発揮する優れた技術ですが、万能というわけではありません。AIには人間に及ばない点も多く存在します。したがって、AI時代においては、人間にできてAIにできない能力を見極め、身につけること、さらにAIの力を上手に活用することが求められると言えるでしょう。
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