2019年5月1日より「平成」から新たな元号へ変更となります。それに伴って、元号の変更が考慮されていない書類やシステムなどがないか確認をし、修正をする必要があります。しかし、新元号の発表は4月1日に行われるため、元号変更までの期間が短く、早急な対応が迫られるので注意が必要です。今回は、元号変更による企業への影響や、元号発表までに企業が行っておくべき対応について解説していきます。
目次
元号変更による企業への影響
印刷物変更の必要
まず、多数の企業に関わるものとして考えられるのが、印刷物の修正や変更を迫られることです。年度を和暦で示している書類や帳票、ゴム版などを、西暦もしくは新元号に直す必要があります。対外的な印刷物はもちろんのこと、企業内で用いられている印刷物まで、変更が必要なものを綿密にピックアップする必要があります。
システム修正の必要
新元号になるにあたって、企業で用いているシステムを変更しなくてはいけない場合があります。システム自体が元号の変更を想定せずに設計されていることも多いため、メーカーに問い合わせるなどして、アップデートによって変更可能なのか、ソフトウェアを買替えなくてはいけないのかなど、事前に確認するようにしましょう。
商標ビジネスに巻き込まれる可能性
元号が変更されることによって、今までは商標登録できなかった「平成」という言葉を商標登録できるようになります。現在、平成という言葉を含むような企業名や商品名は大量に存在し、同名のものが数十個乱立しているという場合もあります。元号の変更を機に、平成を含むような企業や商品名の商標登録が殺到し、同名の商品や企業同士が商標登録を巡って争うという商標ビジネスに巻き込まれる可能性があります。
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元号発表までに企業が行なっておくべき対応
現状認識
まずは、上に挙げた元号変更による影響のうち、自社も実際に影響を被る可能性があるものを確認しましょう。印刷物変更の必要性やシステム修正の必要性は、多くの企業にあてはまることが予想されます。具体的に、何をどの程度変更しなくてはならないのかをリストアップし、抜け目なく可視化するようにしましょう。
問題に対する解決施策の決定
現状認識の次は、解決施策の決定に移ります。その際、元号変更への対応に要する各種のコストと、割くことのできる予算を確認しておきましょう。もし予算が少ないのであれば、採るべき施策も変わってきます。例えば印刷物の変更では、全面的な刷り直しではなく、平成と書かれた箇所にシールを貼って対応するなどの施策を行なった方が良いでしょう。他にも、新たに企業独自のソフトウェアを開発・導入するのか、市販のソフトウェアを導入するのかといった選択も変わってきます。
新元号発表前にできる施策の実行
元号変更に対応する施策が決定したら、新元号発表前にできる部分については早めに実行していきましょう。具体的には、年度を表す際に和暦をやめて西暦を利用するよう変更する場合などは事前に変更が可能なので、新元号の発表を待たずに直ちに実行しましょう。
他方で、システムの変更など、新しい元号が決まらなければ実行に移せないものもあります。この場合は、仮の元号を用いてシステム変更のテストを行なうなどすると良いでしょう。元号変更時にスムーズな移行ができるようになります。
企業の対応の際の注意点
優先順位をつける必要性
元号変更まで残り日数がわずかになっているため、対応がすべては間に合わないことも十分にあり得ます。このとき、優先順位をつけて、対外的な部分を先に行なうなどの工夫が必要です。
安易に西暦にまとめることのリスク
従来通り和暦を用いると、新しい元号を待ってシステムを変更しなくてはいけないため、手間がかかります。そのため、いっそのことすべてを西暦にまとめてしまえば労が少ないようにも思えます。しかし、税務や社会保険の分野では和暦の方が親和性が高かったり、年齢の高い人は西暦よりも和暦を好んで使ったりしますので、様々な状況を踏まえて検討する必要があることを忘れてはいけません。
対応の際のコストを直接費用化できないことも
元号変更の対応にかかったコストを、直接的に費用計上できない場合があります。例えば、社外向けの印刷物を刷り直した場合、未配布の部分は棚卸資産として計上する必要があります。また、システムを新しいものに入れ替えた場合には、その費用を無形固定資産として計上する必要があります。
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まとめ
今回は、元号が変更されるにあたって企業が行なわなくてはいけない対応についてまとめてきました。書類の中のほんの一部で平成という記述が利用されている場合など、細かい部分でも変更しなくてはいけないので大変な仕事です。とは言え、このように細かい対応が不用意なトラブルを避け、企業の信頼の維持にも繋がっていくので疎かにはできません。万全の準備の下で行ないましょう。