【シリーズ】社内広報のススメ3:読者に効果的に届けるメッセージのつくり方

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公開日:2017.1.17

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本シリーズでは「社内広報」というものを通じて、皆さんの会社や職場がより充実感に溢れ、よりイキイキと働けるような環境づくりを行っていただくための連載企画です。

最終回となる今回は、読者に効果的に届けるメッセージのつくり方を紹介します。

メッセージをつくるのはなぜ重要か

はじめに、「メッセージ」とは何かについてお話ししておきましょう。ここでは、「意図を持った投げかけ」と定義します。物事を、そのまま何の解釈・翻訳もせずに、右から左へと伝達されただけの情報には、「メッセージ」が込められていません。そして、「メッセージ」の込められていない情報は、社員の目に止まらない、読んでもらえない可能性が大きくなります。反対に、情報発信する人が、「こう思ってほしい」「こう感じてほしい」という意図を持ち、それを相手に向けて投げかけることで、その情報はメッセージ性を帯びていきます。

「情報(ネタ)に力があれば、ストレートに伝えればよいのでは?」

「あまり情報を捻じ曲げたくない。社員の判断に委ねたい」

そう感じられる方もいるでしょう。しかし、組織にはいろいろな人がおり、伝わり方は人によって異なります。また、発信者の皆さんが思っているほど、社員はその情報に関心を持っていない可能性もあります。

そして何よりも、情報をただそのまま伝えるだけでは、総務部の皆さんを経由する意味がありません。1つひとつの情報に主体的に向き合い、総務担当者自身がメッセージを込めることは、その情報価値を高めると同時に、それを発信する総務部の仕事や役割を高めることにもつながるのです。各職場にいる社員も、そしてあなた自身もイキイキと働ける職場にするために、ぜひメッセージに磨きをかけてください。

「その後の行動」が分かるように

メッセージをつくる最初のステップは、読む前(Before)と読んだ後(After)の状態を定めることです。前回のコラムでターゲットの捉え方について触れましたが、そのターゲットの現状がBeforeにあたります。その現状をどう変化させるのかを定めたものがAfterです。このBefore-Afterを定義しておくことで、軸のブレない、強いメッセージをつくることができます。

なお、Afterを決める際には、単に「その情報を知ることができた」「内容を理解した」といった「認識」の状態ではなく、その後の「行動」に表れるもので定めてください。例を示すと、このような感じです。

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伝える情報の中身を知ってもらうことが目的ではありません。どんな告知であっても、単に「わかりました」で終わったら、悲しいですよね? 結果として、何らかの行動の変化に現れてはじめて、その情報は大きな価値になるのです。

人を動かすスイッチは6つある

Afterを定めたら、次にターゲットを「その気」にさせるために、どうするかを考えていきましょう。人が「その気」になるには、何らかの欲求に影響を与えることが効果的です。コーチングの権威であるアンソニー・ロビンズは、人間の基本的欲求を以下の6つに分類しました。職場で、モチベーションが上がる時、反対に下がる時、その多くは下記のいずれかが影響しているのではないでしょうか?

house-magazine3-2[1]

例えば、前述の「新商品の紹介」を例にとると、欲求の与え方にもこのようなバリエーションが出てきます。

【他社にない商品を開発する自分の会社が誇らしい】(自己重要感)
【新商品の開発に成功したエピソードを知りたい】(成長)
【この商品で、これまで困っていた人を助けたい】(貢献)

どの欲求が一番強いかは、人それぞれ。BeforeからAfterへとつなげるために、どの欲求のスイッチを押せば良いか考えていくと、より効果的なメッセージをつくることができます。

メッセージは2つの形式に集約される

Afterを定め、どんな欲求に刺激を与えるかを決めたら、いよいよメッセージづくりです。冒頭で、メッセージは「投げかけ」であると定義しましたが、その形式は、大別すると以下の2種類に集約できます。

①呼びかけ(勧誘型)

「〜しませんか?」
「〜について考えてみませんか?」
「〜するのはどうですか?」

②問いかけ(問題提起型)

「〜だと思いませんか?」
「〜と思い込んでいませんか?」
「〜と諦めていませんか?」

上記のいずれかの投げかけ方で、メッセージの言葉をつくっていきましょう。

メッセージづくりにセンスはいらない

よく「メッセージづくり」というと、キャッチコピーのようなセンスのよい言葉表現をイメージされることがありますが、そうではありません。一番伝えたいことを、一番シンプルに伝える。そのためには、伝えたいことをたくさん発散してみて、その中から最適なものを探り当てていくことが必要です。ここで求められるのは、センスよりもエネルギーです。

まず、前述の2種類の言葉を、頭の中で思いつく限り付箋に書き出していきます。最初は、数枚しか書けないこともあるでしょう。その時は、皆さん自身がターゲットになった気分で想像してみて、再度付箋に向かってください。ターゲットの性別や年齢、職場を切り替えることによって、新しい言葉が浮かぶかもしれません。たとえ同じような言葉が浮かんできても、構わずドンドン書いていきましょう。こうしたエネルギーを投じていくことで、メッセージの種が大きく膨らんでいきます。

「もう出し尽くした」と思えたら、その中から一番のメッセージを探し当てて行きます。グルーピングをしてみるのもよいですが、ここではストーリーで整理することをお勧めします。挙げられた付箋を眺めてみて、ターゲットがどんな順番で投げかけられたら「その気」になってくれるかを考えていきます。因果関係を考えながら、付箋を順番通り並べ替えていってください。おそらく、曖昧な言葉は外され、混じり気のない、最もピュアな言葉が残っているでしょう。それを、読者に届けてください。

まとめ

以上、良い社内広報を手がけるためのポイントについて、お話ししてきました。まとめると次のような形になります。

社内広報を手がけるポイントは次の3つを定義すること

  • 「   」という人へ(ターゲット)
  • 「   」と投げかけ(メッセージ)
  • 「   」という読後感を与える(アフター)

上記を考えて発信することにより、無味乾燥だった情報は多くの人の関心を引きつけることでしょう。社内に流れる情報に皆が関心を持ち、積極的に反応するような会社は、間違いなく良い会社であると言えます。ぜひ、総務の皆さんによる社内広報の力で、より良い組織づくりに励んでいただきたいと思います。

なお、前述の3つのポイントは、社内広報だけに必要なものではありません。企画書を作るときにも、上司が部下に指導するときにも必要なことです。社内広報業務のレベルを上げていくことで、皆さん自身もより充実したお仕事ができるよう、心よりお祈りいたします。 

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