在宅勤務では、仕事とプライベートの境目が曖昧になりやすいため、社員が仕事をサボることも考えられます。在宅勤務の導入により働きやすさが向上したところで、効率性が下がってしまっては意味がありません。在宅勤務のルールを設定したり、ITツールを導入したりすることで対策を行いましょう。今回は、在宅勤務で社員がサボる要因とそれを防ぐために有効なルールの作り方、サボり防止に有効なITツールについて解説していきます。
目次
在宅勤務で社員がサボる要因
集中力の持続が難しい
在宅勤務の場合、仕事とプライベートの境目が曖昧になり、オンとオフの切り替えが難しいことから集中力が持続しない傾向があります。また、スマートフォンやテレビが身近にある、人目がないため緊張感がない、家族やペットが気になる、なども集中力を妨げ仕事をサボってしまう要因です。なかには、作業をするための適切なデスクや椅子を持っていない、インターネット環境が不安定など、作業環境が整っていないことから集中できないケースもあります。
仕事の管理方法が曖昧
在宅勤務制度を導入したばかりの企業では、在宅勤務時の仕事の管理方法が明確化されていないケースもあります。このような場合、社員は上司から公平・公正に評価してもらえるか、どのような方向性で努力するべきかわからず、結果としてモチベーションが低下してしまう可能性があります。また、在宅勤務中は上司にリアルタイムに仕事の進捗を確認されないことからも気が緩んでサボってしまう社員も多いようです。
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サボり防止に有効なルールの作り方
雇用形態を「ジョブ型」に変更する
多くの日本企業は、先に人材を採用して後から仕事を割り振る「メンバーシップ型雇用」を取り入れています。今までの日本企業の文化ではこの方法で問題ありませんでしたが、在宅勤務を導入するうえでは、「ジョブ型雇用」を取り入れるのも良い方法です。
「ジョブ型雇用」とは、仕事の内容に応じて必要なスキルや経験を有する人材を雇用する制度です。一人一人の仕事の範囲が詳細に規定されているため、自分がやるべき仕事や負うべき責任が明確化されています。
一方、「メンバーシップ型雇用」では、全員で協力して仕事をこなす仕組みから、責任範囲が不明瞭になる、優秀な人に仕事が集中する、などのデメリットがあり、その結果他人任せにしてサボる人が出てくるのです。オフィスで勤務する場合は、上司のマネジメントによりこのような業務の偏りを解消することができますが、上司の目の届かない在宅勤務時のサボりが心配な場合は、仕事の分担や責任の所在が明らかになる「ジョブ型雇用」に切り替えることを検討すると良いでしょう。
成果物の提出を義務付ける
成果物の提出を義務付けることで、業務の進捗を「見える化」することができます。在宅勤務を実施する前日までに仕事に関する要件や納期、報告するべき内容などを決めておき、在宅勤務時に予定通りの成果物が提出されたか確認をします。また、未完成の状態であっても定期的に提出を義務付けて進捗の確認をすることも効果的です。このような目に見える形での進捗報告を義務付ければ、仕事を行う必要性に迫られるだけでなく、在宅勤務中の業務効率化に対する意識も高まるでしょう。
社内コミュニケーションを活発化する
多くの人が仕事中に笑顔になるのは、同僚や上司とコミュニケーションを交わすときではないでしょうか。在宅勤務中は、上司や同僚とのコミュニケーション不足に陥りやすくなるため、一日の勤務のうち、社員は一度も会話を交わす機会が無くなる可能性があるということを認識しましょう。このようなコミュニケーション不足は、会社への帰属意識を薄れさせ、仕事へのモチベーション低下を引き起こす可能性があります。
そのため在宅勤務では、定期的に雑談やミーティングを行う機会を設ける、気軽な連絡を取るためのツールを活用する、随時業務内容の報告や共有をする、などの対策を講じると良いでしょう。
サボり防止に有効なITツール
Web会議ツール
遠隔地にいる複数の社員とオンライン上で対面して会議できるツールです。Web会議ツールを決まった時間あるいは常時接続することで、オフィスにいるときと変わらずにコミュニケーションをとりながら業務を進めることが可能です。また、上司や同僚がお互いの働きぶりを見ているという感覚から、社員のサボり防止にもなります。ただし、社員の自宅が映ることになるため、部屋の中が映らないように背景を設定する、休憩時間は接続をオフにするなど、プライバシーに配慮する必要があります。
ビジネスチャットツール
ビジネスチャットツールは、個人向けのチャットツールに、ビジネス利用に特化した機能を加えたものです。メールと比較して即時性が高い、文章を簡略化できる、グループ間で情報共有ができる、セキュリティ性が高いなどの特長があります。メールやWeb会議をするほどではないけれど、ちょっとした質問や確認をするときに便利です。ビジネスチャットツールを活用して社内コミュニケーションの活性化を図ることで、モチベーションの向上や業務効率化が期待できるだけでなく、こまめな業務連絡や進捗状況の共有はサボり防止に有効といえるでしょう。
業務管理ツール
ToDo管理やスケジューリングによって、仕事の優先度やチームの仕事の進捗状況、納期などが「見える化」できるツールです。タスク管理ツールとも呼ばれます。
在宅勤務中は、いくら自分が仕事を頑張っても誰にも見てもらえないことがモチベーションの低下に繋がり、結果としてサボってしまうケースがあります。しかし、業務管理ツールを使えば、個人の進捗状況をチーム全員がリアルタイムで確認することが可能です。その結果、誰が効率的な働き方をしているかがよくわかり、評価もしやすくなることから、モチベーション高く仕事に取り組むことができるでしょう。また、全体的な仕事分担や進捗状況を管理できるため、優先度の高い仕事を効率的に割り振ることが可能です。
まとめ
設備や環境の違いから、在宅勤務ではオフィスで行うほどの業務パフォーマンスが発揮できないこともあるでしょう。しかし、そのような状況に甘え、サボる社員が出てきてしまうことは避けなければなりません。そのためには、企業側が社員の仕事をしっかり管理し、社員の働き方が軌道に乗るようにサポートすることが重要です。
長引く新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの企業では今後もしばらくは在宅勤務を取り入れなければならないでしょう。自社の社員が活き活きと働ける環境を構築し、在宅勤務であってもオフィスにいるのと変わらない成果をあげられるようにしましょう。