【2024年5月更新】パワハラ防止法で企業が義務付けられていることとは?

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公開日:2020.4.1 最終更新日:2024.6.21

パワーハラスメントの防止を企業に義務付ける法律が、2020年6月より施行されました。そもそもパワハラとは、立場的に優位に立つ者の言動の中で、業務上必要な範囲を超えたものを指します。パワハラ防止法では、こうした言動に対して「雇用管理上必要な措置を講じること」を義務付けています。今回は、パワハラ防止法の概要やパワハラの定義、職場におけるパワハラの種別、企業が課される義務と具体的な措置について解説していきます。

パワハラ防止法とは

改正労働施策総合推進法

2019年6月5日、改正労働施策総合推進法が公布されました。改正労働施策総合推進法では、職場でのハラスメント対策の強化を企業に義務付けています。この新たに明記された企業の義務を「パワハラ防止法」と呼びます。

パワハラ防止法に定められた義務

パワハラ防止法は、パワハラの基準を法律で定めることで、具体的な防止措置を企業に義務化することを目的に作られました。厚生労働省が告示した「職場におけるハラスメント関係指針」には、具体的なパワハラの防止措置として次の3つが記されています。

  • 企業の「職場におけるパワハラに関する方針」を明確化し、労働者への周知、啓発を行うこと
  • 労働者からの苦情を含む相談に応じ、適切な対策を講じるために必要な体制を整備すること
  • 職場におけるパワハラの相談を受けた場合、事実関係の迅速かつ正確な確認と適正な対処を行うこと

このほかに、プライバシーの保護のために必要な措置を講じることや、パワハラの申告を理由に、労働者の解雇や不利益な取り扱いをしないことなどが企業に義務化されました。

大企業と中小企業での施行日の違い

厚生労働省は、大企業の場合2020年6月1日から、中小企業の場合は2022年3月31日までの努力義務期間を設けたうえで、2022年4月1日からパワハラ防止法を施行しました。

パワハラ防止法の罰則

現時点では、罰則は設けられていません。しかし、厚生労働大臣が必要だと認めた場合、企業に対して助言や指導、勧告が行われることがあります。勧告に従わない場合、労働施策総合推進法33条2項に基づいて、パワハラ防止法違反が行使される可能性があるので注意しましょう。

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パワハラの判断基準とは

職場におけるパワハラの定義

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 労働者の就業環境が害されるもの

これらの3つの条件が全てそろった場合、パワハラとみなされます。 同じ職場で働く者」が対象のため、正社員だけではなく、契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど全ての雇用形態の人が該当します。なお、 客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲だと判断される適正な業務指示、指導はパワハラにはあたりません。

法で定められたパワハラ6類型

パワハラ防止法では、下記の6類型の行為を代表的なパワハラ行為として定めています。ただし、この6類型だけがパワハラにあたるわけではありません。このほかにもパワハラと判断される行為があることを忘れないようにしましょう。

  • 身体的な攻撃:暴行や傷害など
    1. 殴打や足蹴りをする
    2.髪をひっぱる
    3. ものを投げつける
  • 精神的な攻撃:脅迫や名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など
    1. 相手の人格を否定するような言動
    2. 侮辱的な言動
    3. 業務の遂行に関する内容を、長時間にわたり必要以上に激しく叱責する(何度もくり返す)
    4. 他人のいる場所での威圧的な叱責をくり返し行う
    5. 本人以外の人間が見ることができるメールなどでの罵倒
  • 人間関係からの切り離し:隔離や仲間はずし、無視など
    1. 意に沿わない労働者を仕事から外し、長時間別室へ隔離する
    2. 自宅待機や自宅研修を強制する
    3. 集団で無視し、職場内で孤立させる
    4.職場の親睦会などに特定の労働者を呼ばない
  • 過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
    1. 本来の業務に直接関係がない作業を、長時間にわたり肉体的苦痛をともなう過酷な環境下で行わせる
    2. 必要な研修などを行わないまま、対応できないレベルの仕事をさせ、完了できなかったことに対して厳しく叱責する
    3. 業務と関係のない私的な雑用などを強制的に行わせる
  • 過小な要求:道理に反して、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
    1. 労働者を退職させる目的で、誰でもできるような簡単な業務を行わせる
    2. 気に入らない労働者に、嫌がらせ目的で仕事を与えない
  • 個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること
    1. 職場以外での継続的な監視や私物の写真撮影
    2. 個人情報を本人の同意を得ずにほかの労働者に暴露する
    3. 有給休暇の取得理由に口をはさみ理由次第で却下する

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まとめ

一見すると企業の負担が増えるように思えますが、パワハラ防止法は企業にも大きなメリットになる法律です。曖昧だったパワハラが法律で定義されることで、さまざまなトラブルの回避や、パワハラ行為が起こった場合の対処も行いやすくなります。

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